第31期竜王戦4組ランキング戦で、谷川浩司九段が菅井竜也王位を破りました。
角換わりから長い序盤が続きましたが、先手の谷川九段が果敢に仕掛けて打開します。華々しく駒を取り合って迎えた局面:
△4九飛の王手角取りが気になる局面ですが、谷川九段は構わず▲3四歩と斬り込みます。△4九飛、▲6九銀、△4六飛成、▲5一角と進み、先手は駒損ながら自玉が堅い状態で攻めが繋がる形となりました。谷川九段はここから一手も受けの手を指すことなく攻め続け、粘る菅井王位を寄り切りました。
ここ数年は勝率が4割程度まで落ち込むなど、過去の偉大な実績からすると信じられないような不調が続いていた谷川九段ですが、今期は16勝13敗と復調の兆しを見せています。特に関西の若手実力者との対戦では、菅井竜也王位に2勝0敗、今期JT杯で優勝しNHK杯も決勝進出を決めている山崎隆之八段に3勝0敗、棋聖戦挑戦者になった斎藤慎太郎七段に1勝0敗、今期勝率8割に迫る大橋貴洸四段に1勝0敗など、先輩の貫禄を示しています。
復調の直接的なきっかけとなったと思われるのは、2017年2月に将棋連盟の会長職を辞されたことです。新会長に就任した佐藤康光九段は、残念ながら今期は13勝16敗と勝率を落としています。超一流棋士のお二人が言い訳をされることはまずありませんが、やはり客観的に考えると、将棋の研究に費やす時間を犠牲にせざるを得ない会長職の多忙さは大きなハンデだと思われます。
谷川九段は王位リーグでは羽生竜王との3年ぶりの対戦も組まれています。復活の兆しを感じさせる光速流が羽生マジックと激突する時、往年のような名勝負がもう一度見られるかも知れません。