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9筋に歩超し飛車+金の珍形:山崎八段が2度目のNHK杯優勝

第67回NHK杯将棋トーナメント決勝戦が本日放送され、山崎隆之八段が稲葉陽八段に113手で勝利し、2度目の優勝を決めました。


今期のNHK杯はトップ棋士や若手強豪が均等にばらけた印象で、好カードが続出しました。山崎八段はここまで中村王座、羽生竜王、青島五段、斎藤七段、郷田九段、稲葉八段は阿部七段、藤井六段、渡辺棋王、豊島八段と、それぞれ並み居る強敵をなぎ倒して決勝へ進出して来ています。

出典:NHK

32年ぶりに関西勢同士の対戦となった決勝戦は、両者和服で気合十分。山崎八段の先手で、横歩取り模様から逆に稲葉八段に横歩を取らせる力戦型に。

先手が不本意な位置に角を打たされたかに思われましたが、ここから▲5六歩、△3五飛、▲4七角と進め、山崎八段の構想が明らかになりました。△7三銀、▲1七桂と進み、後手は次の▲3六歩を受ける手段が難しく、後手は一気にノックアウト寸前に。

やむなく△7六歩、▲同飛、△9五飛と、なりふり構わず飛車を助けましたが、▲8四歩が絶好の手筋の一着で、先手が優位に立ちます。

直前に▲8七飛と引いた手が疑問で、後手に一瞬のチャンスが巡ってきた局面。△4五桂から斬り合いを挑んでいれば、▲9一歩成、△3七桂成、▲9二角成、△4八成桂、▲同金、△1九角成と進み、歩切れの先手は△5四飛や△5五香が激痛でむしろ後手が指せていました。

本譜は△9六金の押し売りを取らずに▲8五飛と逃げたのが冷静な対応で、山崎八段が事なきを得ます。稲葉八段としては「(金を)捨てる覚悟でいたんですけど、助かる順が一瞬見えて」しまったのが、決断を躊躇させてしまったようです。

出典:NHK

山崎八段は日本シリーズに続き今期2度目の棋戦優勝となり、早指しの強さを改めて見せつけた格好となりました。昨年度まで対戦成績が2勝18敗という天敵だった羽生竜王にも今期は2度勝利しており、充実した1年となりました。通算600局以上対局している棋士の中では、羽生竜王、渡辺棋王に次ぐ3位の勝率を誇る実力者でもある山崎八段。トーナメント棋戦での好成績を来年度はタイトル戦での活躍にもつなげたいところです。

稲葉八段は名人戦の挑戦失敗以降やや不本意な成績が続きましたが、NHK杯で藤井六段をねじ伏せたのをきっかけに、本局まで10勝2敗と調子を上げていました。決勝戦は悔いの残る内容となってしまいましたが、ここまでの勢いを何とか持続させて、羽生vs豊島戦の勝者を待ち受ける順位戦プレーオフに向けてコンディションを整えられるでしょうか。

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