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大橋四段が高見六段に勝利、絶好調対決は白熱の激戦に

第49期新人王戦、高見泰地六段vs大橋貴洸四段の対局は、128手で大橋四段が勝利しました。


高見六段(左)、大橋四段。出典:日本将棋連盟

異筋の攻め

14日に開幕する叡王戦七番勝負に出場する高見六段と、昨年度勝率ランキング2位の大橋四段による2回戦屈指の好カードとなった本局。後手の大橋四段の横歩取りに対し、高見六段は青野流を採用しました。

この戦型らしく序盤から駒が派手に飛び交う空中戦になっていますが、大橋四段はここから△9五歩、▲同歩、△9八歩、▲同香、△9九角と思わぬところから手を作ります。あまり見たことがない筋ですが、この場合は次の△8七歩成が受からず、馬作りが約束された形です。

豪打さく裂

数手進んだ局面。先手は馬は作られたものの左辺の金銀を連結させ、2九飛の守備力も健在でまだまだ頑張れそうな形です。ただし、▲8二歩と打った手は危険でした。

△8八歩、▲7七桂、△5六馬、▲同歩、△8九角(!)。

桂と角をさばかせた上に銀の利きに角を打ち込む非常に見えづらい手順ですが、この場合は攻めが決まっています。▲同銀は△8七飛成でさらに駒を取られる形ですし、直前の▲8二歩がたたって▲8五歩と受けることも出来ません。先ほどの△9九角と同じく、形にとらわれない大橋四段の深い読みが光る攻めでした。

ただし、△8九角に対して高見六段は▲5七角と打ちましたが、そこで△7八角成、▲8四角、△8七馬と一直線に攻め合ったため、先手は苦しいながらもチャンスのある展開になりました。▲5七角に対して△8三飛とじっと引いておけば、相変わらず8筋に歩が打てない先手は受けに窮していました。

粘りを振り切る

馬に睨まれた先手陣は風前の灯のようですが、▲6八香が絶好の反撃です。△6九飛、▲4九金打、△5六馬、▲7五桂と進むと、先ほどから景色が一変して後手陣にも火の手が上がっています。依然として先手がやや苦しい形勢ですが、高見六段も攻守に様々な手を織り交ぜて局面を複雑化し、巧みに逆転を狙っています。

先手の必至の食いつきが功を奏したかに見える局面ですが、ここで△4四歩と突いた手が冷静な決め手でした。と金が消えると攻めが切れてしまう先手は▲4一銀と打ちましたが、△4三玉、▲3五桂、△5四玉と上部へ脱出したのが好判断で、後手玉は寄らない形です。以下は▲4二とに△2五桂から素早い寄せを決めた大橋四段が熱戦を制しました。

更なる飛躍へ

デビュー1年目の昨年度は46勝12敗(勝率0.793)という高勝率を残した大橋四段。プロ入り同期の藤井聡太六段の陰に隠れた感は否めませんが、本局の内容を見ればその確かな実力は疑う余地がありません。今年度も大活躍が期待されます。

藤井六段に2度勝った男、勝率8割に迫る大橋四段とは?

一方の高見六段は、14日に開幕する叡王戦の前に最後の対局を白星で飾ることは出来ませんでしたが、それでも叡王戦七番勝負進出を決めた2月以降は7勝3敗と好調を維持しています。本局でも苦戦に陥ってからの粘り強さはさすがで、勝率の高い棋士らしい勝負術が随所に見られました。叡王戦で初タイトルを獲得する確率は、個人的には6割以上ある気がします。

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