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広瀬八段が深浦九段に勝利し竜王戦挑戦者に、充実の快勝譜を徹底検証

第31期竜王戦挑戦者決定三番勝負第3局、深浦康市九段vs広瀬章人八段の対局は、広瀬八段が91手で勝利し、羽生善治竜王への挑戦権を獲得しました。


出典:Abema TV

速攻

先手の広瀬八段が深浦九段の雁木を牽制する立ち上がりを見せたのに対し、深浦九段はそれでも得意形を目指しました。

3筋からの仕掛けが見えているだけに後手としては怖いところですが、この手順が成立しないとなると後手番で雁木そのものが指しづらくなるため、譲れない変化でもあります。一方の広瀬八段としてもかなり不覚まで研究が行き届いていたようで、対局開始から30分も経たないうちに▲3五歩と駒がぶつかりました。

全面戦争

やや立ち遅れ気味の後手のスキを突いて先手は右辺でポイントを上げましたが、ここから△8六歩、▲同歩、△7六歩、▲同飛に△8五歩が十字飛車を含みにした常套手段でした。本局では8九の桂にヒモはついていますが、それでも8五に飛車を飛び出されると先手は面白くないようです。本譜は△8五歩を手抜いて▲2五桂と跳ね、△8六歩に▲8四歩と進みました:

痛恨の失着

ここで△7三桂と跳ねたのが大胆な一手でした。▲7四歩が見えていますが、そこで△8七歩成が軽妙な一手で、▲同銀には△8四飛と銀取りで切り返せます。

しかし△8七歩成に対して角取りを手抜いて▲7三歩成(!)とさらに踏み込んだのが好判断で、先手が一気に優位に立ちました。△7五歩、▲2六飛、△7七と、▲同桂、△7三銀で駒損ですが、そこで露骨に▲3三桂打と打ち込んだ手が厳しい追撃となりました。いかにも重たい攻めですが、本局の場合は駒損の回復が確実な上に後手からそれ以上に早い攻めがなく、見た目以上に差が開いてしまったようです。

深浦九段としては何らかの誤算があった可能性が高そうですが、結果的には△7三桂では平凡に△同飛と取るしかなかったようです。

充実の快勝

深浦九段が△8六角の筋を切り札に秘術を尽くして先手玉に嫌味を付けていますが、ここで▲7三金と踏み込んだ手が事実上の勝利宣言となりました。後手陣は既に収集が付かないため攻め合うしかありませんが、以下△7七歩成、▲同銀、△6五銀、▲8二金、△9五角に、▲5八玉が冷静な早逃げで、△7七角右成に▲8三歩成と確固とした挟撃体制を築いて先手の勝ちが明らかになりました。

本局は残念ながら中盤で差がついてしまいましたが、第2局以降の広瀬八段は全体的に広瀬八段の強さが目立つ局面が多く、最近の好調ぶりを象徴するような勝ち方でした。直近では他棋戦で羽生竜王にも勝利しており、3年ぶりのタイトル戦となる竜王戦でも好勝負が期待されます。

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