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166局目の羽生vs谷川戦は羽生竜王に軍配、最終盤は驚異の切れ味

第59期王位戦挑戦者決定リーグ2回戦で、羽生善治竜王が谷川浩司九段に83手で勝利しました。


出典:Abema TV

角換わりから両者腰掛け銀に組み合い、後手の谷川九段が仕掛けを誘うような形となって迎えた局面。ここで羽生竜王は▲2二歩、△同金、▲3四飛(!)、△同金、▲7一角と大技を繰り出します。感想戦では谷川九段はこの順をあまり予想していなかったようですが、羽生竜王としても積極策というよりは消去法に近い決断だったようで、形勢は難解です。

谷川九段が△5二歩と催促した局面ですが、結果的にはここでは△2九飛と攻め合う手が勝ったようです。▲4三銀にも△3二金で一時の猶予は得られる形で、先手玉も駒を渡せない形なので激戦です。本譜は△5二歩に対して▲5四馬とじっと引き上げ、△2九飛に▲5九銀と投入して指せると見た羽生竜王の大局観が秀逸でした。先手はただでさえ少ない攻め駒を自陣に使わされますが、後手からも早い攻めがない形で、後の▲5五馬~▲6四馬という再活用が間に合ってしまいました。

後手陣もまだ耐久力がありそうに見えますが、ここで▲4五桂が鮮やかな決め手でした。△同歩は▲同銀に対して△同金と取れない(▲同歩が1九の竜取り)ため、後手は攻めを振りほどけません。本譜は△4九とと斬り合いましたが、▲5三桂成、△同歩、▲7二飛、△5二銀に▲5三馬以下、先手が1手勝ちを収めました。

角換わり腰掛銀という戦型に加えて谷川九段の棋風と、ブレーキが利かない斬り合いになりやすい条件が揃っていた影響もありますが、中盤を一気に飛ばして終盤に突入してからは残念ながら後手に軌道修正のチャンスは訪れませんでした。

羽生vs谷川戦は本局で通算166局目。両者の年齢を考慮すると、歴代1位の中原vs米長戦の187局の更新までは近そうで遠い道のりです。本局の内容にも象徴される羽生竜王の変わらぬ充実ぶりを見る限り、両者の熱戦を今後も見るためには谷川九段の奮起を期待せざるを得ないようです。

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