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羽生竜王が先勝:名人戦第1局の大激戦を徹底検証

第76期名人戦第1局は、羽生善治竜王が97手で佐藤天彦名人に勝利しました。また、羽生竜王は本局の勝利により大山康晴15世名人に次いで史上二人目となる通算1400勝も達成しました。


出典:Abema TV

序盤から大乱戦

振り駒の結果羽生竜王の先手となり、後手の佐藤名人が得意の横歩取りへ誘導しました。

ここで羽生竜王が▲2六飛と寄った手が突っ張った一手で、△8八角成、▲同銀、△4四角からの大決戦を誘発しました。羽生竜王は今月6日の王位リーグの対局で、村山慈明七段に対して後手番で△8四飛までの局面を指したばかりで、感想戦によるとその時に▲2六飛と寄る手もあると感じていたそうです。

△4四角以下は▲2一飛成、△8八角成、▲9五角、△8九馬、▲8四角、△7八馬と、一日目から早くも終盤戦に突入しました。

難解な封じ手

封じ手の局面は非常に手が広いところでしたが、佐藤名人は△3八歩を選択します。すぐには狙いが分かりづらい手ですが、▲同玉には△2六歩、▲同竜、△4四角と攻防に打たれる手が気になり、本譜の▲同銀には△1二角、▲2六竜、△6七角成、▲6四歩と進んだ時に、△2七歩が厳しくなっています。

△3八歩は手順に先手陣を固めてしまう感があり非常に読みづらい一手でしたが、△2七歩まで進んでみると先手玉の右辺が思いの他狭い形になっています。ただし後手陣も玉頭を直撃されて非常に怖い展開でもあり、形勢は難解だったようです。

ねじり合い

先手玉はいかにも寄りそうな形ですが、3筋を壁にされた後手は駒が渡す手を制限されており、依然として激戦が続いています。佐藤名人は夕食休憩をはさんで46分の長考に沈みますが、明快な寄せを発見することは出来ず、△5九金、▲同玉、△6八金、▲4九玉、△5八金、▲3八玉、△4八金、▲2八玉と形を決めてから△6一銀と受けに回りました。

形勢は不明ながら、先ほどの長考で佐藤名人は残り時間が21分(羽生竜王は1時間29分)となってしまい、受けに回る先の長い展開では実戦的には後手が勝ちくなっていたかも知れません。

堅守を突き破る決め手

佐藤名人が△8一銀打と受けた局面ですが、ここで▲5一金と打ったのが攻めを継続させる決め手でした。△同玉と取る一手に、▲7一竜、△6一桂と竜取りを避けてから▲1八玉と早逃げする手の味がよく、ようやく先手優勢がはっきりして来ました。

△8一銀打では▲5一金を防いで△6一銀打と逆から受ける手も見えますが、▲6四歩、△3四桂に▲2五竜が詰めろ逃れの詰めろになり、後手が勝てないようです。

▲1八玉に△6二角と埋めた局面ですが、▲5二歩がぴったりの決め手で、△同玉、▲8一飛成に△同銀と取ることが出来ず(▲6四桂以下詰み)、ほどなく羽生竜王が勝ち切りました。

▲5二歩があまりにも厳しいため、△6二角は時間切迫による錯覚だった可能性が高いですが、代わりに△4七馬と詰めろを掛けても▲3六銀がぴったりの受けで、角を渡すと▲6三桂不成から詰まされてしまう後手が苦しい形勢です。とはいえ、以下△2七歩、▲同竜、△3八角、▲4七銀、△2七角成、▲同玉に、△4一玉ともう一度受けに回れば、勝負のあやはまだ残されていたかも知れません。

佐藤名人としては最終盤に悔いの残る見落としがあったかも知れませんが、それ以外はお互いに攻守に様々な技を繰り出し合う中、形勢不明の終盤戦が非常に長く続いた大熱戦でした。先手番となる第2局でも本局のようなハイレベルな攻防が期待されます。

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