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斎藤七段が佐々木六段に勝利、将棋界屈指の実力派イケメン対決を徹底検証

第31期竜王戦ランキング戦3組準々決勝、斎藤慎太郎七段vs佐々木勇気六段の対局は、斎藤七段が122手で勝利しました。


将棋界屈指のイケメンにして若手トップクラスの実力者でもある両者の激突を検証します。

斎藤七段(左)、佐々木六段。出典:日本将棋連盟

雁木の桂

後手の斎藤七段の雁木に対し、佐々木六段が右四間飛車に構えました。

▲4五歩から角と銀の総交換が行われた局面。一昔前までの常識では、攻めの銀をさばいた上に自分だけ歩を手持ちにし、2二金の悪形を強要した先手が悪いはずがないと思われたでしょう。しかし、実際は後手の雁木の骨組みがそっくり残っていることや、先手陣の方が角の打ち込みに気を遣うため(将来の△2七角や、▲3六歩と突いた時の△5五角)、むしろ後手がやや得していた可能性が高いです。

本譜は△3三桂、▲7七銀、△3五歩、▲3八金、△3二金と進みましたが、こうなると先手が角の打ち込みを警戒する間に△3三桂と▲2九桂の間に大きな働きの差が生じており、やはり後手が作戦勝ち模様になっています。

後手が馬を作る間に先手も6筋でポイントを挙げましたが、ここで△4五桂と跳ねる手が後手玉の3三への退路も同時に開く味のいい活用となりました。以下▲6三銀、△同金、▲同歩成、△同馬、▲6四歩、△4一馬、▲5六金に、△7三桂が再び気持ちのいい活用です。

実際の形勢はまだ微差ですが、後手の桂だけがこれほど大活躍してしまうと、実戦的にも気分的にも先手が勝つことは大変でしょう。矢倉に代えて雁木が台頭している大きな要因の一つである左桂の自由度が存分に発揮される展開となっています。

不可解な疑問手

そしてさらに数手進み、ここで▲1五歩と突いた手が直接的な敗着となりました。手抜いて△8六歩と突いたのが鋭い一手で、▲同歩には△8三歩、▲6六角、△6五歩でしびれます。本譜はやむなく▲5四銀と取りましたが、終盤の入り口で▲1五歩がほぼ一手パスになってしまったことは致命的で、△8七歩成、▲同金、△5四銀から斎藤七段が手堅く寄せ切りました。

▲1五歩では単に▲5四銀と取り、△同銀なら▲5五銀と千日手含みに粘るしかありませんでした。後手は△5四同歩と打開していた可能性が高いですが、そこで▲7三角成、△同金、▲6五桂と強襲すれば、やや苦しいながら先手も戦える展開でした。本譜は△8七歩成、▲同金と形を乱されていることが痛く、△5四銀に▲5五銀と打っても△6七銀と踏み込まれて先手が勝てません。

竜王戦の重み

勝った斎藤七段はこれで3組決勝進出となり、2組昇級を決めると共に決勝トーナメント出場まで後1勝と迫りました。昨年の竜王戦4組での対戦を含め、同世代の佐々木六段との公式戦はこれまで0勝2敗だっただけに、本局では特に気合が入っていたと思われます。棋聖戦挑戦を果たした昨年前半と比べると、年末頃からはやや勝率を落としていましたが、竜王戦での活躍を復調のきっかけに出来るでしょうか。

一方の佐々木六段は今年に入ってから9連勝を含む12勝2敗と勝ちまくっていましたが、本局は▲1五歩の一手で珍しく完敗となってしまいました。本局には竜王戦2年連続昇級による七段昇段も懸かっていましたが、これで昇級者決定戦(残り1勝)へ回ることとなりました。同じ竜王戦では、自身が昨年連勝記録を止めた藤井聡太六段が七段昇段の可能性を残しているだけに、昇級者決定戦では是が非でも勝ちたいところです。

第31期竜王戦5組準々決勝、阿部光瑠六段vs藤井聡太六段の対局は、136手で藤井六段が勝利しました。船江恒平六段と石井健太郎五段の勝者と対戦する準決勝に勝利すると、竜王戦2年連続昇級により七段昇段となります。 出典:Abema TV現代将棋の中盤術角換わりの出だし...
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