第59期王位戦七番勝負第5局、菅井竜也王位vs豊島将之棋聖の対局は、本日2日目を迎えています。

先手の菅井王位の向かい飛車に対し、豊島棋聖は左美濃へ。菅井王位は第1局、第3局と先手番でいずれも十八番の中飛車で勝利していた上、本局も初手▲５六歩で始まっただけに意表の戦型選択となりましたが、その後も早い段階で飛車を7筋へ振り直して歩を交換するなど、意欲的な序盤を展開しました。

▲４六銀の局面で豊島棋聖が50手目を封じました。

封じ手は△２五歩でした。後手はゆっくりしていると▲５五歩から４四角に圧力を掛けられる展開になりそうだったため、△６五歩の開戦は避けられないところでしたが、△２五歩はその前に玉頭にも争点を作る最も激しい一手です。▲２五同歩にそこで△６五歩と突けば、▲５五歩には△２五桂と跳ねる手が生じます（以下▲５四歩、△３七桂成、▲同銀は2枚替えでも直後の△６六歩の取り込みが厳しく後手が指せそうです）。ただし2筋は後手玉にとっても傷であるためリスクを伴う仕掛けでもあり、△２五桂に▲２六角、もしくは直前の△６五歩に対して▲５五歩ではなく▲４八角という対応も考えられ、いずれも後手の仕掛けが成立するかどうかは何とも言えないところです。

形勢は非常に難解ですが、どちらかと言えば先手を持ってみたい気がします。両者ともに似たような陣形なだけに▲３八金の一手が間に合っていないのは気になりますが、その代償として左辺の飛車と金は先手の方が活用を見込みやすそうです。また、４四角と３七角の関係も、本局ではお互いに銀に近いため、後手は角が攻撃目標とされる展開は避けなければなりません。

全体的に早指しな菅井王位と、序盤は綿密な研究に基づいて飛ばす傾向が強い豊島棋聖の対戦ということもあり、今シリーズでは封じ手の局面までにやや差がついていたケースもありましたが、本局は互角のねじり合いが長く続きそうです。タイトルの行方を大きく左右する大一番らしい大熱戦となる予感がします。