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2018年将棋大賞を予想:名局賞は驚異の終盤力が発揮された大熱戦

藤井聡太六段の29連勝、羽生善治竜王の永世七冠、菅井竜也王位や中村太地王座の誕生、渡辺棋王のまさかのA級陥落など、激動の一年となった2017年度の将棋界。将棋大賞の各賞を勝手に、かつ真面目に、予想します。


名局賞

棋王戦予選 澤田真吾六段vs藤井聡太四段

将棋の内容と対局の舞台という二つの要素のどちらを重視するかで、毎年意見が分かれる名局賞。特に今年は藤井六段の活躍により、対局の舞台の大きさと知名度が比例しないことで、例年以上に票が割れそうです。

タイトル戦などの大勝負では、今年は一方的な将棋が目立った印象があります。番勝負で初めて対戦するカード(名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦)やタイトル保持者の不調(竜王戦、棋王戦)など、対局者の読みがかみ合いづらい勝負が多かったようです。その中であえて候補を上げるとすれば、中村vs羽生(王座戦第1局)と渡辺vs羽生(竜王戦第4局)でしょうか。知名度も考慮すると藤井vs羽生(朝日杯準決勝)も挙がりそうですが、持ち時間が短い将棋は選ばれづらい傾向があります。

将棋の内容を重視すると、藤井vs深浦(叡王戦本戦)、久保vs深浦(A級順位戦)、糸谷vs斎藤(棋聖戦挑戦者決定戦)が有力でしょうか。深浦九段は昨年も名局賞を受賞しており、苦戦の将棋を大熱戦に持ち込む粘りの技術が名局を生んでいるようです。

しかし総合的に判断すると、藤井六段の終盤力の凄みが最も発揮された澤田六段との大熱戦が選ばれる気がします。苦しい形勢を相手にとって非常に難しい2択まで持ち込んだ勝負術は見事で、澤田六段をもってしても間違わせてしまう妖気のような力を感じさせました。予選の対局が選ばれることは稀ですが、藤井六段の20連勝目の対局ということで知名度はトップクラスでもあり、名局賞に相応しいと思います。

出典:産経新聞

将棋名局集「20連勝」:藤井vs澤田 棋王戦予選

最優秀棋士賞

羽生善治竜王

前年度からタイトル数は減らしたものの、前人未到の永世七冠を達成し、名人挑戦も決めたことで、ほぼ満場一致となりそうです。

優秀棋士賞

菅井竜也王位

活躍度のみで選べば藤井六段が最有力ですが、優秀棋士賞は過去20年以上に渡ってタイトルホルダーから選ばれ続けています。また、過去に新人賞を取っていない棋士が先に優秀棋士賞を受賞した例もありません。

今年は羽生竜王以外に複数タイトルを保持している棋士がおらず選考が難航しそうですが、菅井王位と久保利明王将で票が割れた末に、王位戦で羽生竜王を圧倒した内容や年間成績の高さが評価されて菅井王位に決まると予想します。

敢闘賞

豊島将之八段

今年は敢闘賞というより残念賞ですが(^-^;、今年度前半の爆発的な勝率と、3月の超過密日程の中で順位戦プレーオフを勝ち進んだ豊島八段以外に候補が思いつきません。

新人賞

藤井聡太六段

新人賞の枠を超えた活躍でした。ちなみに羽生竜王はデビュー1年目に新人賞を受賞し、2年目に敢闘賞、3年目に記録4部門で1位を独占して最優秀棋士賞に輝いています。藤井六段の現在の勝ちっぷりはデビュー当時の羽生竜王のペースをも上回りそうな勢いですが、果たして2018年度はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。

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