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第63回三段リーグの対戦表が公開、昇段争いの行方を考察

第63回奨励会三段リーグ(2018年4月―9月)の対戦表が発表されました。有力選手や見どころを探りました。


三段リーグ表(外部リンク)

藤井聡太世代の新三段

2名の昇段枠を懸けて37名が争う三段リーグで最年少となるのが、今期が初参加の伊藤匠三段です。藤井聡太六段と同学年となる15歳は二段まで見渡しても伊藤三段しかおらず、もし1期抜けを果たすと高校1年の前期での昇段となり、現行の三段リーグ制度開始以降では佐々木勇気六段と並び、藤井六段、渡辺明棋王に次ぐ3位タイのスピード記録になります。

藤井六段が朝日杯で優勝した時は準決勝・決勝で記録係を務めるなど、藤井六段への対抗心が伺える伊藤三段。若き日の羽生竜王と森内九段のようなライバル関係へと発展して行くのでしょうか。

藤井聡太世代の躍進を予感させる将棋ソフト藤井聡太六段の強さの秘訣の一つとして、将棋ソフトを使った研究が挙げられます。将棋ソフトが急速に実力をつけ、棋士が研究に取り入れ始めたのは、第2回電王戦でプロが将棋ソフトに負け越した2013年頃からだと思いま...
第2の藤井聡太候補、「AI世代」伊藤匠三段とは? - 将棋を100倍楽しむ!

長期在籍者が多い上位陣

出典:朝日新聞

前期三段リーグで勝ち越し(10勝8敗)以上の成績を収めたのは上位12名までですが、初参加だった1位の服部三段と6位の貫島三段を除くと全員が20代以上で、三段リーグに10期以上在籍している方が目立ちます。過去に12勝6敗以上の好成績を残しながら後一歩で四段昇段を逃した経験を持つ実力者が多く揃っていますが、中でも3位の甲斐三段と8位の谷合三段は三段リーグの通算勝率が全参加者中それぞれ3位と4位という抜群の安定感を誇ります(1位と2位は先述の服部三段と貫島三段)。両者共に年齢制限が迫ってはいますが、順位の良さに加え次点持ちにより3位でも四段昇段となる有利さを活かし、今期こそはチャンスをものにすることが出来るでしょうか。

その他、前期三段リーグで14勝4敗という好成績を収めた1位の服部三段と、13勝5敗で今期2位の黒田三段も次点を保持しており、昇段の有力候補でしょう。

(注:三段リーグで次点を通算2回獲得すると、フリークラス編入による四段昇段の権利が与えられます)。

上位陣との対戦数

三段リーグは総当たりではないため、対戦表にはくじ運も多少反映されます。上位12位までの上位陣との対戦数は以下の通りです:

全体的に見ると上位陣同士のつぶし合いが多く組まれたと言えそうですが、中でも3位の甲斐三段は1~5回戦が全て12位以内の上位者との対戦となっており、序盤の成績が今期の行方を大きく左右しそうです。また、17回戦では甲斐三段と最年少の伊藤三段との対戦も組まれており、ここが昇段争いの大一番となる可能性もありそうです。

門下別の活躍にも注目

門下別で最も多いのは小林健二九段、井上慶太九段、宮田利男七段の一門で、それぞれ4名の弟子が在籍しています。プロの順位戦では師弟対決はB級1組以上でしか組まれませんが、三段リーグではそのような配慮はなく、兄弟弟子といえども昇段を直接争うライバルとなります。

井上一門は対藤井六段戦の高勝率(井上九段、菅井王位、稲葉八段がそれぞれ1勝0敗)が話題となっていますが、藤井キラー一門の棋士が今期の三段リーグから新たに誕生するかも知れません。一方、その藤井六段の兄弟弟子である宮田大暉三段(杉本昌隆七段門下)も、今期から初参加しています。

その他では、広瀬章人八段や戸辺誠七段といった30代前半の実力者を師匠に持つ山川泰熙三段と小山直希三段にも注目です。共に三段リーグ初参加となった前期は平凡な成績に終わりましたが、年齢的にはまだ10代と若く、現役バリバリの師匠と公式戦で戦う日が訪れる可能性は十分にありそうです。

奨励会は三段からが本当の勝負、と言われるほど過酷な三段リーグ。全員に紙一重の実力差しかない中、上位2名の昇段枠をつかみ取るのは果たして誰でしょうか。

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