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名人戦第4局は佐藤名人がややリードか、封じ手と2日目の展開を予想

第76期名人戦七番勝負第4局、佐藤天彦名人vs羽生善治竜王の対局は、佐藤名人が47手目を封じて1日目が終了しました。


2日前から水面下で始まっていた戦いと、明日の展開を予想します。

出典:Abema TV

意表の大乱戦

後手の羽生竜王が横歩取りへ誘導し、佐藤名人の青野流に対して序盤早々から大決戦を仕掛けました。

早くものっぴきならない展開ですが、驚くべきことにこの局面は、僅か2日前に王位リーグ(対松尾八段戦)で羽生竜王が先手を持って55手という短手数で勝った将棋と同一だということです。

第59期王位戦挑戦者決定リーグは最終戦が一斉に行われ、紅組では羽生善治竜王が松尾歩八段に55手で、白組では豊島将之八段が佐々木大地四段に83手でそれぞれ勝利しました。紅組は羽生竜王の単独優勝、白組は豊島八段と澤田真吾六段によるプレーオフとなりました。ヒ...
羽生竜王と豊島八段が圧巻の快勝、棋聖戦を占う王位リーグ最終戦を徹底検証 - 将棋を100倍楽しむ!

公式戦では2局しか前例がない(しかも初めて指されたのは僅か3日前)戦型をあえて採用したからには、羽生竜王は対松尾戦での読みの蓄積と事前研究の中で後手側の秘策を発見していたはずです。自身が先手を持って快勝したばかりの将棋を後手番でも採用するとはあまりにも想像しづらく、佐藤名人も意表を突かれた、と思われたのですが・・・

周到な事前研究

△5五角に対し、佐藤名人は比較的短い考慮で羽生vs松尾戦と同じく▲8七銀と応じ、△同飛成、▲同金、△9九角成に、僅か3分で▲2三歩と新手を放ちました。

一見するとぼんやりした手に見えますが、△8九馬には▲2二歩成を用意して後手の指し手を制限しています。後手は手が広い局面ですが、△3三桂は▲2一飛、△3三金や△3三馬には▲3五飛で思わしい手がないようです。

羽生竜王は1時間20分近い長考の末に△4四馬と応じましたが、▲同飛、△同歩に▲1六角の王手が絶好の味で、△4三香と持ち駒を投入せざるを得ないようでは早くも先手がややリードを奪った気がします。

持ち時間9時間という長丁場の名人戦で、僅か3分で▲2三歩を決断した以上、佐藤名人にも相当深い事前研究があったと思われます。2日前に羽生竜王が先手番で勝ったばかりの将棋にまで新手を用意していた佐藤名人の用意周到さが光りました。

早くも先手リードか

羽生竜王が△3三金と上がった局面で封じ手を迎えました。

封じ手は▲5六角と逃げる一手でしょう。駒の損得こそ角と銀香の二枚替えで後手がやや得をしていますが、4三香の働きが弱いことや(3一銀を釘付けにする)2三歩の存在、後手の歩切れ、先手の大駒の自由度などを総合すると、先手が指しやすい局面であることは間違いなさそうです。後手は4三香に活を入れるために△4五歩と突くくらいでしょうが、自然に▲7七桂と遊び駒を指されると、後手はスキを作らずに自陣の駒を活用する構想が難しい気がします。

佐藤名人は封じ手に1時間近く考えておられましたが、それでも1日目の消費時間は佐藤名人の3時間12分に対して羽生竜王は4時間54分と大きな差がついており、▲2三歩という新手に対して羽生竜王が苦慮されていた様子が伺えます。

2日前の羽生vs松尾戦から水面下で始まっていた戦いは佐藤名人が一本取った形となりました。羽生竜王の2日目の巻き返しはあるのでしょうか。

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