第76期名人戦第6局、佐藤天彦名人vs羽生善治竜王の対局は、山形県天童市にて二日目を迎えています。
羽生竜王の意表の2手目△6二銀で始まった1日目は、後手が一歩損の代償に右銀を足早に繰り出して手得を主張するという、最近時折見られるようになった力戦形へと進みました。未開の領域が多い戦型だけに序盤から一手一手に時間を使う神経戦となりましたが、羽生竜王が持久戦を目指したことで夕方にかけてはややペースが上がりました。
第76期名人戦七番勝負第6局は、羽生善治竜王が44手目を封じて1日目が終了しました。 出典:Abema TV先手の佐藤天彦名人の初手▲2六歩に対し、羽生竜王の2手目は意表の△6二銀。報道陣や観戦者の退室前だった対局室の空気が一瞬変わった気がしました。以下▲2五歩、△... 名人戦第6局は佐藤名人がややリードか、封じ手と2日目の展開を徹底予想 - 将棋を100倍楽しむ! |
44手目の羽生竜王の封じ手は本命の△3一玉でした。ここまでの持久戦の流れと一貫した一手で、もうしばらく駒組が続きそうです。
常識的な感覚としては、持久戦になればなるほど駒得が大きくなる(≒手得が生きづらくなる)としたもので、個人的には既に先手がややリードしている気がします。先手の方が▲5八金~▲3七桂~▲2九飛など、確実にプラスになる手が多く、後手としては早めに仕掛けたいところですが、先述の通り歩切れと7筋に歩がいないことにより△7五歩と突けないことが大きく、後手から動く筋が見当たりません。
とはいえ、羽生竜王が負けると敗退が決まる大一番で奇策ともいえる2手目△6二銀を選択された以上、相当の準備があるはずで、本譜のような持久戦もある程度は想定されていたはずです。今日はこの後どのような斬新な構想を見せて下さるのでしょうか。