昨年度のC級1組順位戦は、千田翔太六段が10戦全勝、永瀬拓矢七段が9勝1敗でそれぞれB級2組昇級を果たしました。先日発売された「将棋世界」5月号では順位戦昇級者の喜びの声が伝えられていますが、その中でこの二人はライバル視するある棋士の名を揃って挙げています。
永瀬七段の「昇級者喜びの声」より:
また、千田六段は佐々木六段と同年齢で、お互いに最も公式戦での対戦数が多い相手です(千田六段の5勝4敗)。2013年の加古川清流戦決勝3番勝負では佐々木六段が勝利し、同年の順位戦でも結果的に勝者が昇級していた直接対決を佐々木六段が制していますが、2016年の棋王戦挑戦者決定戦では千田六段が借りを返しています。
佐々木六段は毎年のように7割に迫る高勝率を収めていますが、順位戦に限ると前年は6勝4敗と平凡な成績に終わっています。にもかかわらず永瀬七段と千田六段が昇級を争うライバルとして佐々木六段を強く意識していたのは、数多くの対戦を通して佐々木六段の実力を認めていることの表れでしょう。
C級1組は年々参加者が少しずつ増加していますが、昨年度は参加者が37名に対して昇級枠が2名と、C級2組(50名に対して3名)以上の非常に高い競争率でした。その影響もあり、佐々木六段と高崎一生六段が9勝1敗の好成績でも昇級を逃すという不運に見舞われました。特に佐々木六段は順位が6位と上位だったにもかかわらず頭ハネを食らっており、結果的に千田六段の開幕前の心配は概ね当たっていたことになります。
ただし、昇級した千田六段と永瀬七段も、前年に後一歩のところで昇級を逃しており(特に永瀬七段は9勝1敗で頭ハネ)、順位を大きく上げたことが今回の昇級に繋がっています。今期のC級1組は順位が1位となる佐々木六段が昇級の最有力候補となるでしょう・・・
・・・と言いたいところですが、今期はC級2組から藤井聡太六段が昇級して来るため、一概には言い切れません。毎年熾烈を極めるC級1組の昇級争いから、今年も目が離せませんね。