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藤井六段全勝昇級の裏で衝撃の結末:C級2組最終局昇級争い

time 2018/03/16

第76期C級2組最終局が行われ、藤井聡太六段が三枚堂達也六段に85手で快勝し、既に決めていたC級1組昇級に全勝で華を添えました。同時に公式戦15連勝となり、次は王座戦2次予選決勝で、元竜王で今期A級昇級も決めた強敵、糸谷哲郎八段と対戦します。


藤井六段が序盤から相手に全く力を出させずに圧倒し、三枚堂六段としては悔いの残る将棋となってしまいました。

一方、残り2枠の昇級争いでは物凄いドラマが待っていました。最終戦を前に、7名が7勝2敗で並んでいました:

この中で、まず遠山雄亮六段と大橋貴洸四段が夕食休憩前に早々と勝利を収め、上位陣にプレッシャーを掛けます。続いて都成四段が22時前に勝利し、昇級を決めます。そしてその後、自力昇級の権利を持った増田康広五段と神谷広志八段の対局は22時45分に何と千日手が成立しました。

指し直し局も大激戦で、優劣不明の展開が長く続きましたが、最終盤でようやく増田五段が抜け出します。

先手の増田玉に詰みは無く、後手玉は風前の灯です。神谷八段は△5五歩と延命を図りましたが、▲5三飛でついに後手玉は完全に必至となり、投了しました。

しかし、投了した局面で△6九飛成、▲同玉、△7八銀(!)、▲同玉、△6七金とすれば、先手玉は詰んでいました:

▲同玉には先ほど△5五歩と突いた効果で△5六角と打てますし、▲8八玉には△7九角、▲9八玉、△9六香以下、後手は歩以外の持ち駒を全て使い切ってぴったり詰みます。

つまり、投了1手前の△5五歩は詰めろ逃れの詰めろになっていて、神谷八段は敵玉に詰みがある局面で投了してしまったのです。△6九飛成以下の詰み筋は23手と手数こそ長いものの、3手目の△7八銀の捨て駒さえ見えれば後は一本道の手順です。しかし、いかにも△5八銀から追いたくなる局面で、わざわざ敵玉が逃げる方向へ捨てる手は盲点になりやすい手ではあります。

戻って▲5三飛では、▲8二角、△7三香と後手に合い駒を使わせてから▲5三飛とすれば、後手は先ほどの筋では駒が一枚足らず先手玉は詰みませんでした。増田五段は△5五歩をうっかりしていたそうで、秒読みの中で▲8二角を発見できず、「最後は詰まされても文句はいえないと思った」と語っています。

終局は午前2時7分。23時15分に始まった指し直し局で、30手以上も一分将棋を戦い続けた神谷八段は、感想戦で詰みがあった事実を告げられると、額に手を当てて歯を食いしばりました。

増田五段は辛くも白星を拾い、自力昇級を決めました。結果的に今期C級2組は、藤井六段が全勝でぶっちぎった以外は8勝2敗で7人が並び、5人が順位差に泣いて昇級を逃す激戦となりました。

新人王戦2連覇など、大器の評判通りの活躍を挙げながら、順位戦では2年連続で終盤で痛い星を落として昇級を逃していた増田五段。今期も6連勝スタート後に2連敗と嫌な流れでしたが、何とか土壇場で踏みとどまりました。幸運をも実力に変えて、来期はさらなる飛躍の年に出来るでしょうか。

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