藤井聡太六段が史上初の4連覇に挑む、第15回詰将棋解答選手権チャンピオン戦が3月25日に開催されます。公式戦での藤井六段の大活躍により注目を集めている今年の大会では、取材殺到に主催者の対応が追い付かず、マスコミに非公開の名古屋会場が初めて特設される事態となっています。
詰将棋解答選手権に藤井六段用の特設会場、取材殺到により非公開に
「チャンピオン戦」では39手以下の詰将棋が計10問、前後半90分ずつに分けて出題され、1問10点の計100点満点で得点を競います。参加者の多くはプロや奨励会員、アマ強豪や詰将棋作家といった実力者揃いですが、それでも例年50点以上を獲得するのは全参加者の半数程度です。特に後半戦の最終問題では毎年のように30手を超える超難問が出題されており、2年前に至っては約80人の参加者の中で誰一人正解出来ませんでした。
藤井六段でも制限時間内に解けなかった、直近2年の最終問題をご紹介します。自力で解ければ間違いなく来年以降の優勝候補です(^-^;。
第14回詰将棋解答選手権チャンピオン戦
作者:鈴川優希
第2ラウンド第5問
合駒が3回、邪魔駒消去が2回登場します。盤上に攻め方の金銀が4枚もある入り組んだ初形ですが、詰め上がりでは全ての金銀が消滅しています。
1~6手目▲5八銀、△6八玉、▲6九銀、△同玉、▲2九飛、△5九銀
邪魔駒の4九銀を消去して▲2九飛。角合と金合は後述する順で早詰み。
7~12手目▲同飛、△同玉、▲6七銀、△5七歩、▲同飛、△4八玉
6手目の△5九銀に代えて金合はこの局面で▲4七飛以下、角合は▲2六角以下、それぞれ早詰み。
10手目△5七桂は▲同飛、△4八玉、▲5三飛成、△3八玉、▲5八竜、△2七玉、▲3六銀以下早詰み。
13~18手目▲4七金、△4九玉、▲4八金、△同玉、▲1七飛、△4九玉
13手目に単に▲1七飛は△3八玉で不詰め。4六金を消去した本譜ならば以下▲3九銀、△2九玉、▲1九飛、△同玉、▲5五馬以下早詰み。
19~26手目▲5八銀、△同玉、▲5七馬、△4九玉、▲4七飛、△3八玉、▲4八馬、△2九玉
27~32手目▲3八銀、△1八玉、▲1九歩、△同玉、▲3七馬、△2八飛
32手目△2八金は▲同馬、△同玉、▲2九金まで。その他の合駒は▲4九飛、△1八玉、▲2七馬まで。
最終手まで▲4九飛、△1八玉、▲2七銀、△同飛成、▲1九飛 まで37手詰
第13回詰将棋解答選手権チャンピオン戦
作者:相馬慎一
第2ラウンド第5問
正解者が一人もいなかった超難問。打ち歩詰め回避を巡る攻防なのですが、非常に難解な変化や紛れが数多く存在し、全ての罠を回避するのは至難の業です。管理人には正解を見ても作意を理解するまでに1時間以上かかりました(汗。
1~6手目▲2七銀、△1五玉、▲2六銀上、△1四玉、▲2五銀、△1五玉
初手▲2五銀は後述。6手目△同玉は▲2一飛不成で2手短く正解手順に合流します。
7~12手目▲1一飛不成、△2五玉、▲2一飛不成、△3五玉、▲3二桂成、△6二歩
飛車不成が後の打ち歩詰め回避への布石。11手目▲5二桂成は後述。12手目△6二歩の意味は後述。
13~19手目▲同角成、△4六玉、▲4一飛不成、△5七玉、▲4七飛不成、△6六玉、▲8四馬
12手目△6二歩を打たないと、本譜の手順中に▲4七飛成、△6六玉、▲9三角不成とされます。以下△5五玉は▲5六歩、△6五玉、▲7五角成まで、△7五歩も▲同角不成、△5五玉、▲5六歩以下早詰み。可能なら△8四歩の中合いが手筋なのですが、二歩のため打てません。
一方、△6二歩を▲同角不成とし、19手目を▲8四角不成とすると、今度は△7六玉で詰みません。
16手目△4四歩は後述。
20~28手目△5五玉、▲5六歩、△6五玉、▲7五と、△6六玉、▲7四と、△6五玉、▲7五馬、△5六玉
パズルのような手順が続き、後手玉の最長手数の逃げ方を見つけるのも一苦労です。
最終手まで▲5七馬、△6五玉、▲7五と、△5五玉、▲5六歩、△同角、▲同馬、△同玉、▲8三角、△5五玉、▲6五角成 まで39手詰
変化・紛れの解説14手目△4四歩は、▲同飛不成、△3六玉、▲3七歩、△2五玉、▲5二馬以下詰み。最後に▲5二馬と指すため、11手目▲5二桂成や13手目▲同角不成だと詰みません。
10手目△2二歩(▲同飛不成から同じように進めると、3二成桂が邪魔して飛車を4筋へ回れず詰みません)には▲同飛成、△3五玉に、今度は▲5二桂成が妙手。以下△6二歩、▲3六歩、△4六玉(△3四玉は▲4四と、△同玉、▲6二角成以下)、▲4二竜で、
- △5七玉は▲4七竜、△6六玉、▲9三角不成以下詰み。
- △3六玉は▲4五竜、△2六玉、▲6二角成、△1六玉、▲1七馬、△同玉、▲1八歩以下詰み。
この時、初形から▲2五銀、△同玉、▲2一飛不成から追っていると正解手順と比べ盤上に▲1五歩が残っており、2.の変化で最後の▲1八歩が打てずに詰みません。
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