2018/10/16
数々のメディアで今も精力的に活躍されている加藤一二三九段ですが、そのキャラクターの真骨頂が発揮されるのはやはり本職である将棋の解説をされている時でしょう。昨日の名人戦第1局でもニコニコ生放送の解説に登場され、昼食のトマトを畠山鎮七段と山田久美女流四段にプレゼントするなど多くの見せ場を演出してファンを喜ばせました。

一度見るとクセになる、加藤九段の独特過ぎる解説姿の中から代表的な名作(?)をご紹介します。
糸谷八段との真剣勝負
2017年に行われた、第2期叡王戦第1局、佐藤天彦vs将棋ソフト「Ponanza」戦の解説会に登場した加藤九段。そこでは解説者の糸谷八段と視聴者による対戦企画が行われていたのですが、勝負師の血が騒いだ加藤九段は視聴者の存在を忘れてバシバシと指し進めてしまいます。
ゴキゲンな加藤九段に触発されたのか、糸谷八段も徐々に「怪物」ぶりを発揮し、局面はいつしか真剣勝負と化しました。
「ああ、そこへ、ああ、そうか、僕、ここかと思ったら、ああ、これは、ええ、あの~、意表を突かれた。ああ、いやいや、これはいやいや、これは、事件ですねえ」
最終盤まで絶え間なく続いた加藤九段の名調子に、場内は爆笑の連続です。
ライバルとのダブル解説
2012年にNHKで放送された「東西巨匠ライバル対決」にて、内藤國雄九段と有吉道夫九段の対決を、米長邦雄永世棋聖と加藤一二三九段が解説するという豪華すぎるシーンがありました。
過去には何度もタイトル戦で激突したこともあり、米長永世棋聖いわく「顔は合うけど気は合わない」ライバル関係だった両者ですが、晩年はお互いに丸くなられたようです。お二人の解説を眺める羽生三冠も笑いをこらえていたのかも知れません。
羽生2冠の大逆転
最後はあまりにも有名なシーンですが、2007年のNHK杯戦で羽生2冠が大逆転勝ちを収めた対局です。
「あれ、あれ、あれえ?あれ、おかしいですね、あれ、もしかしてとん死?あれ、あれれ、あ、歩が3歩あるから、あれれ、とん死なのかな?えーーーーあ、これとん死?あ、これとん死なんじゃないかな?えーーーーー?」
加藤九段が、文字に起こすだけでも一苦労なほど大興奮した、羽生2冠の鮮やかな逆転勝ちでした(^-^;。