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真の将棋界最強は誰だ?「レーティング」が示す「不運な棋士」とは?

time 2018/03/05

プレーヤーの現在の強さを表す指標として、国際化が進んでいるチェスや囲碁などのマインドスポーツでは「レーティング」というシステムが用いられています。成績に基づいてリアルタイムで変動するレーティングを将棋界に応用すると、現在の将棋界の勢力図がより鮮明に見えてきます。また、「レーティングが高いのにタイトルに手が届かない不運な棋士」の存在も浮かび上がって来ました。


レーティングとは?

レーティングの基本的な原理は、一局ごとに相手とのレーティング差により以下のように変動する、というものです。具体的には:

  • 自分より高い(低い)相手に勝つと大きく(小さく)上昇する
  • 自分より高い(低い)相手に負けると小さく(大きく)下落する

という性質があります。また、相手とのレーティング差が大きければ大きいほど、順当勝ち(負け)による変動幅は小さく、大番狂わせが起きた時の変動幅は大きくなるような計算式になっています。

「段位」や「順位戦のクラス」との差

強さを表す指標として、一般的に最も認知されているのは「段位」でしょう。囲碁や剣道、書道などあらゆる分野で用いられるこの日本固有のシステムは、将棋を知らない方にも理解されやすいというメリットがあります。しかし、昇段はあっても降段はないという構造や、通算勝ち星による昇段規定もあることから、現在の実力を正確に反映しているとは言えません。

昨今の将棋ブームもあり、「順位戦のクラス」という概念も、報道で取り上げられる機会が多くなりました。こちらは段位と違って降級があり得るため、より正確な指標だと言えます。ただし、一年に一階級ずつしか昇級・降級出来ない、という制限により、一局ごとに変動するレーティングと比べると、実力が反映されるまでにどうしても時差が生じます。

例えば、仮に藤井六段がA級に在籍していれば、名人挑戦の有力な候補であることに異論はないと思われます。しかし現実にはA級へ昇級できるのは最短でも3年後なので、C級1組という「順位戦のクラス」が藤井六段の実力を正確に表しているとは言えません。レーティングもある程度の対局数を必要としますが、順位戦よりは遥かに短期間で他の棋士と比較可能な指標を得ることが出来ます。

将棋界のレーティング

国際チェス連盟が公式レーティングに採用しているイロレーティング(Elo rating)という方法で計算すると、現在の将棋界のレーティングは以下のようになります:

15位の藤井六段の躍進が目を引きますが、トップ棋士ばかりと対戦する中で高勝率を挙げているこの表の上位陣とはまだ100点近く差があります。今後藤井六段が真の実力を証明するためには、今後対戦が増えるであろう自分よりレーティングが高い棋士達に勝っていかなければなりません。

ちなみに、レーティングが同じ棋士同士が対局すると、勝った棋士が8点上昇し、敗れた棋士は8点下落します。200点差(藤井六段と全棋士平均の差が約200点です)だと、順当勝ちしても4点しか上昇しませんが、番狂わせで負けてしまうと12点下落します。

「不運な棋士」達

また、レーティングが興味深いのは、高い点数が必ずしもタイトル獲得などの目に見える結果に直結するわけではない点です。例えば、トーナメントを勝ち上がって挑戦者になり、タイトル戦で惜しくもフルセットの末に敗れると、当然タイトルは取れませんがレーティングは大幅に上昇します。大一番に弱いと言ってしまえばそれまでですが、もう少し好意的な表現をすると、実力に見合った結果が出ていない「不運な棋士」だと言えます。

このような「あと一歩」という結果が年々積み重なった末にレーティングが上昇しているのが、現在羽生竜王をレーティングで上回っているにも関わらずタイトル獲得経験がない、豊島八段、永瀬七段、稲葉八段です。

特に豊島八段は先日、結果的に勝っていれば単独挑戦を決められたA級順位戦最終局に敗れたために、6者プレーオフで挑戦まで5連勝が必要になる、というとてつもない不運を経験したばかりです。仮に現在1勝3敗と追い込まれている王将戦で第5、6局と連勝した末に第7局で久保王将に敗れ、A級プレーオフも4連勝後に稲葉八段に敗れるようなことがあれば、またしてもタイトルを手に入れられないままレーティングが上昇してしまいます(^-^;。

トップ棋士との対局が殆どの中で毎年7割近い勝率を残している豊島八段。今年こそはその確かな実力で不運を払拭することが出来るでしょうか。

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