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「ひふみんアイ」とは?レジェンド加藤九段から藤井六段へ受け継がれる必殺技

time 2018/03/02

今やすっかり芸能人となった、将棋界のレジェンド、ひふみんこと加藤一二三九段。


現役時代の対局姿は、ひざまで届こうかというほど長いネクタイ、勝負所でひときわ高くなる駒音、高速で平らげてしまうおやつなど、棋士の中でもひときわ個性的でした。

その中でも最も特徴的なのが、対局中に行う「ひふみんアイ」と呼ばれる動作。長らく加藤九段以外に行う棋士はいませんでしたが、昨年から藤井聡太六段が対局中に頻繁に行う様子が中継に映るようになり、再び注目されるようになりました。

「ひふみんアイ」とは?

1979年に行われてた王将戦第5局。当時全盛期の中原名人に対して、挑戦者の加藤九段(当時は棋王)は3勝1敗と王将位獲得へ王手を掛けていました。

その対局中、中原名人が中座した際に、加藤九段は何気なく立ち上がり、気分転換を図りながら対局室の中を移動し、中原名人の席の後ろへ回り込みました。そこから盤面を見ると、突然それまで気づかなかった妙手が浮かんできたのです。

その妙手を指した加藤九段は快勝し、タイトルを獲得しました。それ以来、相手が席を立った際に相手側から盤面を見る動作は、加藤九段のルーティーンの一つとなりました。

出典:Abema TV

「ひふみん」の愛称が定着した近年では、このように相手側から盤面を見ることが「ひふみんアイ」と呼ばれるようになったのです。

「ひふみんアイ」の効果とは?

理論的には、どちら側から盤面を見ても当然全ての駒の配置が分かるので、同じように局面を考えることが出来るはずです。また、プロレベルの実力であれば、その気になれば盤面を頭の中で回転させて相手の立場に立って考えることも出来ます。

しかし、将棋の上級者は指し手を考える際、これまでの経験に基づいて直感的に候補手を数手に絞り込み、そこから読み始めます。この能力により、無駄な手を省いて妙手である可能性が高い指し手だけを効率よく読むことが出来ます。人間より遥かに多くの指し手を一瞬で読むことが出来る将棋ソフトに対して、人間が近年まで互角に戦えていたのは、読みの効率で大きく勝っているからなのです。

ただし、通常は悪手になりそうな手が例外的に最善手であるような局面では、その手を発見することは困難になります。また、悪手とまでは行かなくとも、直感的に4番目に浮かぶ手が実は最善手だったものの、1~3番目の手も有力だったので、4番目の手はあまり読まない、といったことは良くあります。

「ひふみんアイ」で盤面を逆から見ると、瞬間的にはそれまで考えてきた将棋とは別の局面に見えるはずです。そのため、脳は反射的に「直感的に候補手を数手に絞り込む」という作業をもう一度行います。その結果は自分の側から読んでいた時の直感と同じだという場合が殆どでしょうが、中には先ほどまで4番目に浮かんでいた手が最初に見えたり、あるいは直感的に候補から省いていた手を思いついたりするケースもあるかも知れません。

「ひふみんアイ」を行うことで、それまでに積み重ねてきた自分の読みの蓄積という先入観を捨てて、客観的に局面を捉えられるのではないでしょうか。そのため、直感的に切り捨てていた手が例外的に最善手であるような局面では、その手を発見出来る可能性が高まると思われます。

「ひふみんアイ」誕生の瞬間

「ひふみんアイ」が誕生するきっかけとなった局面はこちらです:

加藤九段は後にこう語っておられます:

1時間ほども考えたでしょうか。中原さんが席を外したので、私は中原さんのほうにぐるっと回って将棋盤を見渡しました。

そうしたら何と、素晴らしい手が浮かんできたんです。

それが▲5五歩!なんです。

居飛車側から中飛車を相手に5筋を突っかけるなんてびっくりでしょう。

こんな凄い手があったんですよ。

中原さんのほうに立って盤を見つめるまでは思っても見なかった手です。

将棋世界Special Vol.4「加藤一二三」より

▲5五歩は確かに直感的には思いつきづらい一手ではあり、「ひふみんアイ」の効果が最大限発揮されたと思われます。

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藤井六段の「ひふみんアイ」

「ひふみんアイ」の注意点として、対局相手が盤に向かっている時に真後ろからのぞき込むことは失礼だと感じられることから、相手が中座したタイミングで行うことが挙げられます。加藤九段の「ひふみんアイ」は基本的にこのパターンで、食事休憩中などによく見られました。

藤井聡太六段も対局中に「ひふみんアイ」を多用していますが、こちらも対局相手がいる時に背後に立つことはありません。しかし、ここぞという勝負所では、相手が盤の前にいる時でも、斜め後ろの非常に離れた位置から「ひふみんアイ」を発動させることがあります。

出典:Abema TV

出典:Abema TV

記録係よりさらに後方から盤を見つめる藤井六段。視力も相当いいのでしょうね(^-^;。

「ひふみんアイ」の歌も

アイドルとのコラボで歌番組にも進出しておられる加藤九段。相変わらず多才でいらっしゃいます。

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