2018/10/16
第76期A級順位戦プレーオフ第2局は豊島将之八段が佐藤康光九段に111手で勝利しました。豊島八段は早くも明日12日に、プレーオフ第3局で広瀬章人八段と対戦します。
対局開始直前、和服姿で気合十分の佐藤九段に対し、今月に入ってから早くも4局目の対局となる豊島八段は、いつもと比べると心なしか背筋や髪形から過密日程の疲労が感じられました:
しかし、始まってみれば佐藤九段のダイレクト向かい飛車に対し、豊島八段は相手の動きを的確に咎めて序盤からリードを掴みます。佐藤九段は惜しみなく持ち時間を投入し、被害を最小限に食い止め続けますが、豊島八段はじりじりとリードを広げて行きます。
後手玉は非常に薄いものの中段の逃げ道が広く、先手も攻め駒が少ないため継続手が難しい局面。しかし豊島八段はここから▲1七香(!)、△1八角成、▲9一竜、△6四玉、▲1四歩(!)と、渋すぎる差し回しを見せます。後手から先手陣に反撃する手段がないため、僅かずつでもプラスになる手を続ければ良いと見切っているわけですね。
以下もどっしりと腰を下ろした攻めで佐藤九段を寄り切った豊島八段。さながら秀吉の小田原城攻めのような、籠城する相手の戦意を徐々に削ぐ盤石な勝ち方でした。佐藤九段としては、午前中の開戦直後から12時間近くに渡り、苦しい中で先が見えない辛抱を強いられてしまう不本意な展開となってしまいました。
プレーオフに生き残った豊島八段ですが、依然として順位戦、王将戦共に一局も負けられない厳しい戦いが続きます。本局が終了してから30時間余りで東京へ移動してプレーオフ第3局、更にそこから30時間余りで長野で王将戦第6局と、想像を絶する強行日程が続きますが、勢いも味方につけて悲願の初タイトルへ望みをつなぐことが出来るでしょうか。