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羽生竜王が名人戦挑戦者に、稲葉八段は痛恨の大ポカに泣く

time 2018/03/22

第76期A級順位戦プレーオフ決勝は羽生善治竜王が98手で稲葉陽八段を破り、佐藤天彦名人への挑戦権を獲得しました。名人戦第1局は4月11・12日に行われます。


一気に決戦へ

振り駒で稲葉八段の先手番となり、相掛かりへ。6二金型でバランス良く構える羽生竜王に対し、稲葉八段が4筋から果敢に仕掛けます。

飛車が非常に狭い局面ですが、無論先手は逃げるつもりはありません。構わず▲4四歩と取り込み、△3四金に▲4三角、△6三玉、▲3四角成と金を取り返した局面は、駒損ながら馬の手厚さと4四歩の拠点が大きく、先手が十分の形勢です。

稲葉八段、痛恨の見落とし

数手進んで後手が△5四角と打った局面。先手は馬を残す指し方も有力でしたが、▲2二歩成(△同銀は▲4三歩成)の狙いも厳しく、羽生竜王もまだ苦しいと感じていました。ただし、すぐに▲2二歩成は△3六角と飛び出され、△6九飛が厳しい狙いとなり先手も気持ちが悪いところです。

稲葉八段はその△3六角を防いで▲4五金と打ちましたが、これが痛恨の大ポカ。△7六角と自然に取れる歩を取らず、△6五角と出る手が盲点になっていたとのことで、次の△2八飛や△3八角成、▲同金、△4九飛があまりにも厳しく、一手で形勢を大きく損ねました。プロレベルではにわかに信じがたい見落としで、名人挑戦が懸かった大勝負の重さが影響したとしか思えません。

やむなく▲5六歩、△同角、▲3九角と涙が出るような辛抱を重ねた稲葉八段は、解説者が「形も作れなくなる」と危惧する程の執念の粘りを最後まで続けましたが、チャンスは訪れませんでした。

▲4五金に代えて▲4七金、もしくは▲2二歩成、△3六角、▲5九金打と、と金が間に合うように息長く指していれば、先手がやや指せていました。ただし、馬を作った局面と比べると既に形勢は接近していたようです。

通算100期目のタイトルが懸かる羽生竜王

出典:Abema TV

順位戦では終盤に手痛い連敗を喫しながら、奇跡的な確率でプレーオフに滑り込んで名人挑戦へこぎつけた羽生竜王。終局後は「プレーオフのことをずっと考えていたので、名人戦のことはまだ白紙の状態です」と語りましたが、そのプレーオフで関西の若手実力者を短手数で連破し、勢いを味方に付けた状態で名人戦を迎えそうです。タイトル通算100期、及び名人通算10期という節目の記録が懸かる大舞台で、佐藤天彦名人を相手にどのような将棋を見せてくれるのでしょうか。

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