2018/10/16
第44期棋王戦予選、中尾敏之五段vs青嶋未来五段の対局は、126手までで青嶋五段が勝利しました。勝てばC級2組復帰、負ければ現役引退という極限の状況で本局を迎えた中尾五段でしたが、残念ながら後一歩のところで力尽きてしまいました。
相矢倉の序盤から総攻撃を仕掛けた先手の中尾五段が一時はリードを奪いましたが、青嶋五段の頑強な受けの前に徐々に切れ模様に陥ります。自玉の安全を確保した後の青嶋五段の反撃も的確で、最後は形勢に差がついてしまいました。
1四金、1五銀という泣いている駒が残ってしまった投了図に、なりふり構わず最後まで粘った中尾五段の無念さが表れています。
勝者の数だけ敗者がいる勝負の世界。最後まで死力を尽くした中尾五段はもちろん、介錯のような役回りの対局にも全力を持って応えた青嶋五段にも、棋士の生き様を見た気がします。