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10秒将棋はどの程度棋力が落ちるのか?将棋ソフトによる驚きの発見

time 2018/04/06

人間対人間の将棋では、持ち時間に差が設定されるケースは殆どありません。プロレベルでは特定の持ち時間を得意とする棋士(例えば山崎隆之八段はタイトル獲得経験はない一方、早指しが多いトーナメント棋戦では8回も優勝しています)もいますが、一方で羽生竜王のように持ち時間に関係なく高勝率を収める棋士もいるため、持ち時間が勝率に及ぼす影響は棋力による影響と比べると限定的だと言えます。


しかし人間対将棋ソフトの対戦になると、ソフトは早指しによる棋力低下が人間と比べて非常に少ないため、持ち時間の長さは勝率に大きく関わってきます。では、持ち時間が無制限という条件と1手10秒の早指しでは、人間はどの程度弱体化してしまうのでしょうか?

管理人の実体験

管理人は1年ほど前から、将棋ソフト「elmo」に週に1,2局ほど以下の条件で教わっています:

  • 手合い:飛車落ちor角落ち
  • 持ち時間:人間は無制限(実際は1局につき約60分、最長で90分ほど使いました)、elmoは1手10秒

通算の勝率は飛車落ちで5割、角落ちで1-2割ほどです。飛車香落ちも数局指しましたが、端を正しく攻めれば序盤から実利を得られるのが大きく、全て終盤に入る前に勝負を決めることが出来ました。

飛車落ちで指し始めた当初は7連敗したので、ソフトの棋風への慣れも大きいようです。棋力向上により勝率も上がっている、と解釈したいところですが、対人間の成績は残念ながらあまり向上していません(^-^;。

気分としては、「ヒカルの碁」に登場する、史上最強の碁打ちの亡霊であるサイと戦っている感じです。

10秒将棋の恐怖

ところが昨日、ふと「elmo」と10秒将棋を指して見ようと思い立つきっかけがありました。どう考えても飛車落ちでは勝てそうにないので、飛車香落ちでどの程度の勝率になるのかに興味がありましたが、まずは肩慣らしに2枚落ちで挑戦。

・・・したのですが、恥ずかしながら負けてしまいました;;

序盤から少しずつ損を重ね、慎重に指さねばと固くなっているうちに左辺に残ってしまった成駒の集団が非常に情けない投了図です(汗。

2枚落ちで負けたのは小学生以来の出来事で、かなり頭に血が上りました(^-^;。その後も4局指しましたが、3勝1時間切れ負けという結果でした。時間切れ負けも形勢がもつれて難解な局面になってしまったことが原因だったので、実質的には負けと同じですね。

ミスをする生き物

持ち時間無制限で「elmo」に5割ほど勝てていた飛車落ちと、今回不覚にも負けてしまった2枚落ちでは、一般的なアマチュアの段位に換算すると三段分くらいの差があります(持ち時間が無制限だとすると、「elmo」もしくは本気の棋士に対して5割勝つには飛車落ちで五段、二枚落ちで二段程度は必要です)。

ちなみに、「elmo」の評価値だと飛車落ちの開始局面は下手が+1050、2枚落ちは+2200です。これまでは「2枚落ちなら将棋の神と指しても負けない」と自負していたのですが、「持ち時間があれば」という但し書きが必要になってしまいました。

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人間対人間の将棋で、こちらが先に秒読みになり相手は大量に持ち時間を残しているような状況と比較すると、今回想像以上に棋力が落ちたように感じられる理由が見えてきます。人間対人間の勝負でも持ち時間を残している方が有利なのは間違いありませんが、相手がその持ち時間を使用している間は秒読み側も指し手を読むことが出来ます。そのため、「持ち時間無制限」と「10秒将棋」の純粋な棋力の変化は、人間対人間の将棋ではそもそも計測できないのです。

人間は頻繁にミスをする生き物だという当たり前の事実を、図らずも将棋ソフトによって痛感させられてしまいました。秒読みによる棋力の低下幅は個人差があるでしょうが、アマチュアの大会では終盤の秒読み勝負が非常に高いウェイトを占める以上、この低下幅を少しでも縮める努力が必要だと改めて思いました。

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管理人の棋力はアマ五段くらい。好きな棋士は谷川浩司九段、「将棋の渡辺くん」に登場する渡辺棋王、佐々木勇気六段の話をする三枚堂達也六段、「りゅうおうのおしごと!」に登場する空銀子女流二冠です。

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