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飛車対角、金対銀、「歩落ち」:ユニークなハンデ戦は駒落ちだと何落ち相当?

time 2018/03/19

森内俊之九段は小学3年生の時に、アマ5級のお父様から将棋を教わったそうです。初心者が初めて指す将棋と言えば殆どが十枚落ちや八枚落ちのような駒落ちですが(これでも最初は簡単には勝てません)、当時の森内少年は負けず嫌いな性格で、駒を落とされるのが嫌でした。そこで森内家で考案されたのが、以下の初期配置から始まるハンデ戦でした:


何とも物凄い光景で、早くも下手必勝です。

森内少年ほどではないにせよ、駒を落とされることに抵抗を感じる初心者の方もいるかも知れません。そのような場合にハンデを付けるための様々な初期配置は、駒落ちと比べるとどの程度のハンデなのでしょうか?将棋ソフトの中でもトップクラスの実力を誇る「elmo」で調べてみました。

駒落ちの評価値

以下が駒落ちの初期配置におけるelmoの評価値です。一般的に、棋士同士の対局だと+300点で作戦勝ち、+1000点で優勢、+2000点を超えると投了級だと言われています。

手合い 評価値
香落ち +200
角落ち +950
飛車落ち +1050
飛車香落ち +1100
2枚落ち +2200
4枚落ち +2600
6枚落ち +3200
8枚落ち +4700

角落ちから飛車香落ちまでに殆ど差がないことは、人間の感覚だと納得しかねる採点ですなので、あくまで参考程度にとらえるべきでしょうか。一方、香落ちと角落ち、そして飛車香落ちと2枚落ちとの間に大きな差があることは間違いないでしょう。

飛車対角

「へぼ将棋、王より飛車を、可愛がり」という有名な川柳がありますが、へぼ将棋ではなくても実戦では角より飛車の方が強い局面が多いことは事実でしょう。しかし、初期配置に関しては意外にもいい勝負のようです。

この局面を、elmoは先手(角2枚)の+100と評価しています。そして過去に実際にソフト同士が対戦した際は、5番勝負で角側が3勝2敗と勝ち越しています。う~ん、不思議です。

飛車、角対竜、馬

これは子供の頃に想像した経験がある方も多いのではないでしょうか。直接的に優勢を築く手順はすぐには思い浮かびませんが、やはり成り駒の潜在的な能力は強く、評価値は+1100でした。

金対銀

銀側はまともな囲いを築くことが難しく、さばき合いに持ち込みさえすれば金側が自然に勝てそうです。ただし評価値は+500と意外にも微差でした。「香落ち以上、角落ち未満」という実力差にちょうどいいハンデかも知れません。

「歩落ち」上手

江戸時代のある将軍が将棋の家元に対して指させた、といわれる手合いだったはずです(記憶が曖昧で確認も取れなかったので、もしかしたら間違っているかも知れません)。「上手」の手番で△8七飛成とすれば早くも必勝で、評価値は-2200(上手必勝)でした。それにしても、駒落ちを嫌うどころか「上手」でなければ気が済まないとは、余程プライドの高い将軍様だったのですね。

最強のハンデ、「森内流」

最後に、冒頭で紹介した森内家のハンデ戦の評価値は+6600でした。8枚落ちをも上回る驚異のハンデですが、確かに将棋を覚えたての方から見ると、上手にも多くの駒があるため、8枚も落とされるよりは抵抗が少ないかも知れません。ただし、将棋の基本的な手筋を覚えたり、平手への応用力を身につけることを考えると、「森内流」はあまり実用的ではなさそうですね(^-^;。

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