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七段昇段を目指す藤井六段に立ちはだかる早熟の天才、阿部光瑠六段とは

time 2018/04/07

藤井聡太六段は現在竜王戦5組で準々決勝まで勝ち進んでおり、最速での七段昇段(竜王戦2年連続昇級)まで残り2連勝と迫っています。その1戦目となる阿部光瑠六段戦が10日に行われます。


早熟の天才として早くから注目を集め、最近では大幅な減量にも成功して完全復活を遂げている阿部六段についてまとめました。

16歳でプロ入り

阿部六段は4期目の参加となった2010年度後期三段リーグで2位となり、2011年4月に四段昇段を果たしました。16歳5か月でのプロ入りは、現行の三段リーグ制度が始まって以降では藤井聡太六段(14歳2か月)、渡辺明棋王(15歳11か月)、佐々木勇気六段(16歳1か月)に次ぐ4番目の年少記録です。

また、先に挙げた3名はいずれも小学4年で奨励会に入会していますが、阿部六段の入会年齢は小学6年と、特別早いわけではありません。しかしその後は僅か1年4か月で三段まで昇段し、中学生棋士まで後一歩まで迫っています。6級から三段までの昇級速度としては恐らく史上最速だと思われます。

将棋ソフトに勝利

現役棋士と将棋ソフトが初めて団体戦で戦った2013年の第2期電王戦で、阿部四段は初戦で「習甦」と対戦しました。

先手の阿部四段は7手目に自ら角交換を行い、9筋の位をかなり早く突き超すなど、徹底したソフト対策を伺わせる駒組みを見せます。そして「△6五桂と跳ねてくれればいいな」と局後に語った阿部四段の目論見通り、習甦は△6五桂から無理攻めを仕掛けてしまい、以下は的確に受け切った阿部四段が快勝しています。

この年の電王戦は結果的に棋士が1勝3敗1分けと負け越し、現役棋士が初めて公の場で将棋ソフトに敗れたことが大きな話題となりました。その中で阿部四段は、その実力はもちろん事前準備の周到さも将棋ファンに見せつけ、唯一の白星を挙げたのです。

矢倉減少の大きな要因

そんな阿部六段の研究家としての力が最大限に発揮されたのが、2015年の叡王戦本戦、対森内俊之九段戦です。森内九段の得意戦法である矢倉に対し、後手の阿部六段は左美濃に構えます:

そしてここから△6五歩、▲同歩、△7五歩から一気に総攻撃を仕掛けて快勝を収めました。

居角左美濃は将棋ソフトの実戦からアイデアを得た戦法で、当時は既に千田翔太六段が使い始めていました。しかし、棋界屈指の受けの名手で「鉄板流」の異名を持つトップ棋士を一方的に攻め倒した本局の内容が居角左美濃の評価を大きく高めたのは間違いなく、過去何十年にも渡って主流戦法の一つだった矢倉は現在ではプロの公式戦で殆ど見られなくなりました。

20キロのダイエット

先ほど触れた2013年の電王戦の時の写真を見ると、阿部六段は比較的ふくよかな体形をしていますが、2016年から一念発起してウォーキングを始め、20キロの減量に成功しています。「具合が悪くなるまでは続けていた」というほどストイックにダイエットを続けた結果、2016年度はプロ入り後初めて勝率が6割を切るなど、やや将棋に悪影響が及んだようですが、現在でも体形を維持しており、体調も回復したようです。

出典:ニコニコ生放送

こちらが2017年12月にニコニコ生放送に出演した阿部六段です。完全に別人ですね(^-^;。

2017年度は飛躍の年

昨年度の阿部六段は33勝15敗と、自己最高となる勝率(0.688)を記録しました。特に後半以降は21勝8敗とさらに調子を上げており、現在決勝トーナメントが進行中の棋聖戦では、佐藤天彦名人、広瀬章人八段と強敵を連破して準決勝まで勝ち上がっています。

才能が開花しつつあることを予感させる阿部六段と、才能が留まるところを知らない藤井六段。10日に行われる対局は大熱戦が期待されます。

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