将棋を100倍楽しむ!

王位戦第2局は豊島棋聖が快勝、堅すぎる穴熊と万全の寄り切りを徹底検証

time 2018/07/25

第59期王位戦七番勝負第2局、菅井竜也王位vs豊島将之棋聖の対局は、豊島棋聖が105手で勝利し、通算成績を1勝1敗としました。


出典:Abema TV

鉄壁の穴熊を活かした豊島棋聖の快勝譜を検証します。

意表のノーマル向かい飛車

先手の豊島棋聖が初手から▲2六歩、△3四歩、▲2五歩と形を決めたのに対し、菅井王位は角道を止める向かい飛車で対抗しました。振り飛車党に対する▲2六歩~▲2五歩はゴキゲン中飛車を指しづらくする意味がある一方、向かい飛車を誘発する意味があるため、豊島棋聖がこの出だしを選べば実現し得る進行として両者共にある程度は想定されていたと思われます。

その後、豊島棋聖の左美濃に対し、菅井王位が比較的大人しい駒組を選んだため、先手が銀冠穴熊、後手が銀冠へそれぞれ組み合う持久戦となりました。

数手前の▲6六歩と角道を止めた手が、4筋からの仕掛けは大丈夫だと主張する強気な一手で、こう指されると後手としても△4五歩と動くしかなく、戦いが始まりました。51手目▲5六銀の局面で菅井王位の封じ手となりました。

不本意な仕掛け

封じ手は△4七歩成で、以下▲同飛、△2八角成、▲4三飛成、△同金、▲3二銀と決戦に突入しました。ただし、後手は駒の働きでは勝るものの先手の駒得や玉の堅さが大きく、既に先手が勝ちやすい展開のようです。

数手進み、△4九飛に対して▲5二金と張り付いた局面。後手は△4三飛成と粘りに出ましたが、▲5一金、△5五歩に▲4四歩が痛打でした。感想戦では菅井王位はこの手を軽視されていたとのことで、△同竜と取れない(▲6五歩が絶好の一手)ようでは後のと金作りがほぼ確約され、先手優勢がはっきりしました。

△4三飛成では△8一飛とかわし、▲5三成銀には△1八馬、▲6二金、△同金、▲同成銀、△6一香のように頑張れば、後手もやや苦しいながらもまだまだ頑張れました。ただし、数手前に△5一飛と逃げた手は△4三飛成と取ることを前提とした逃げ場所なので、ここへ来ての軌道修正は非常に指しづらいところではあります。

▲7一銀を見て豊島棋聖の勝ちとなりました。△同竜には▲8三香が激痛で、後手は望みがありません。菅井王位がこれほど一方的に敗れることは非常に珍しく、それほど優勢になってからの豊島棋聖の指し回しが的確だったと言えます。

歴史の重み

本局は菅井王位が珍しく角道を止める向かい飛車を採用されましたが、居飛車穴熊相手に持久戦でがっぷり組み合う展開は実戦的に振り飛車が勝ちづらいという認識により、プロの公式戦では角道を止める振り飛車が衰退したという歴史があります。菅井王位としては、あえて角道を止めたからには何かしら試したい構想があったはずですが、感想戦では1日目に4筋から動いた手順もあまり自信はなかったとのことでした。封じ手の時点で消費時間に1時間近い差がついていた(豊島棋聖が3時間17分、菅井王位が4時間12分)ことを見ても、早指しで知られる菅井王位としてはかなり早い段階から不本意な展開が続いていたようです。

豊島棋聖が快勝で1勝1敗のタイに戻したことで、七番勝負は俄然面白くなってきました。念願の初タイトルを手にして勢いに乗る最強の挑戦者を止めるのは大変だと思われますが、第3局以降は菅井王位の巻き返しに期待したいところです。

宜しければクリックをお願いします
ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
bougin にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
 



down

コメントする







 当サイトについて

ベンダー

ベンダー

将棋界の最新ニュース、独自のコラム、詳しい棋譜解説から将棋めし情報まで、将棋を100倍楽しむためのコンテンツをご紹介します。
当サイトはリンクフリーですが、記事・画像の無断転載は固くお断り致します。相互リンクをご希望の際は、サイト下部のお問い合わせフォームよりご連絡下さい。
管理人の棋力はアマ五段くらい。好きな棋士は谷川浩司九段、「将棋の渡辺くん」に登場する渡辺棋王、佐々木勇気六段の話をする三枚堂達也六段、「りゅうおうのおしごと!」に登場する空銀子女流二冠です。

メールマガジン登録

当サイトの更新情報をメールでお知らせします。受信箱を確認して登録手続きを完了して下さい。