2018/10/16
将棋は才能と努力が99%、残りは1%の振り駒運?
将棋の先手後手は振り駒で決められます。「歩」と「と金」のどちらが多く出るかは五分五分の確率ですが、出来ることなら誰しも先手番が欲しいものです。
公式戦では、事前に先後が決まっている対局以外は殆どの場合記録係が振り駒を行いますが、4月に開幕する叡王戦7番勝負では、その大役が何と振り駒専用に開発されたロボットに託されました。振り駒の結果で記録係を責めることはもちろん出来ませんが、ロボットだとちょっと「ん~・・」と思ってしまうのは、まだ見慣れていないからでしょうか(^-^;。
「振り駒運」のいい棋士、悪い棋士
プロの公式戦ではより一層先手になりたいものでしょうが、そこは時の運です。では、先手番になった確率が最も高い、将棋界一の強運(?)の持ち主は誰でしょうか?
過去3年間の公式戦を調べてみました:
一位の中尾五段の64%に対し、将棋界一不運(?)な堀口七段は何と35%しか先手番になっていません。勝負にたらればは禁物ですが、さすがにこれだけ差が出ると、少しはぼやきたくなるような気もします。
先手が得意な棋士、後手が得意な棋士
プロ棋界全体では先手番の勝率は約52-53%ですが、先手番が特に得意な棋士や、後手番を苦にしない棋士もいます。そこで、先手番の勝率と後手番の勝率が大きく異なる棋士も調べました:
「先手勝率-後手勝率」が最も高い片上六段は、先手では73%という非常に高い勝率を誇りますが、逆に後手では37%しか勝っていません。また、ここまで極端に後手番の方が得意だという棋士はいませんが、それでも後手の勝率が先手より2割近く高い棋士もいました。
将棋界一の強運は?
しかし、先手、あるいは後手が得意でも、それを振り駒で引き当てられるかどうかは運次第です。その中で、両方のランキングで上位にいる杉本和陽四段は、「先手が非常に得意」(先手勝率と後手勝率の差が28%)でなおかつ先手番を引く確率が高い(61%)稀有な存在です。将棋界一強運な棋士は杉本和陽四段と、勝手に認定したいと思います(^-^;。
ちなみに、藤井聡太六段が先手番になった確率は約44%でした。藤井六段の勝率は先手番の方がやや高いので、棋士の中では比較的「不運」な部類に入ります。
しかし、先日行われた朝日杯では、準決勝・決勝ともに先手番を引き当てています。振り駒の結果は運次第ですが、急所の大一番で先手番を得るあたり、若かりし頃の羽生竜王がタイトル戦で高確率で先手番を得ていたように、「持っている」と感じたファンも多いのではないでしょうか。