2018/10/16
史上稀にみる大混戦となった第76期A級順位戦は、最終局を終えて6名が6勝4敗で並び、将棋界初の6名によるプレーオフとなりました。
降級は屋敷九段、行方八段、渡辺棋王となりました。
また、6者プレーオフという異例の事態により、対局日程を組む将棋連盟の手合課は悲鳴を上げているかも知れません。ここではプレーオフのシステムと、今後予想される超過密日程について考えます。
6者プレーオフの方式
順位戦のプレーオフは、前期の順位に基づくパラマス方式で行われます。
順位1位の稲葉八段は1局勝てば挑戦者になれますが、逆に下位の久保王将と豊島八段は挑戦までに5連勝が必要です。もはやプレーオフというより別の棋戦に参加しているようですね・・・
久保王将と豊島八段は王将戦で激突中・・・
名人戦は例年4月初旬に開幕するため、遅くとも3月末までには挑戦者を決めなければなりません。そのため、6者プレーオフを消化するためには1週間に1局以上のペースで対局を組まなければなりません。
しかし、プレーオフ1回戦で戦う久保王将と豊島八段は現在王将戦を戦っている最中で、既に以下の日程が埋まっています。
- 王将戦第5局:3月6-7日
- 王将戦第6局:3月14-15日
- 王将戦第7局:3月27-28日
さらに、一人の棋士に二日連続で対局が組まれることはないため、順位戦プレーオフを組めるのは以下の日程しかありません:
- 3月9-12日、17-25日、30-31日
二日連続で対局を組まないためには、3月9-12日の期間に1局、17-25日に3局、30-31日に最終局を組む必要があり、ギリギリの状態です。実際には王将戦以外の棋戦の対局も既に組まれているため、6名全員の日程と被らないスケジュールを実現させることはほぼ不可能だと思われます。
(追記:)
プレーオフ第1局は4日、第2局は10日に行われることが決まりました。久保王将と豊島八段にとっては、順位戦最終局から僅か30時間余りでプレーオフが始まり、さらにそこからまた30時間あまりで島根県まで移動して王将戦第5局が行われる、想像を絶する強行日程となります。
挑戦者決定は4月にずれ込み、名人戦開幕は数週間延期か?
史上空前の出来事が相次いだ今年度の将棋界ですが、最後にまた凄まじいドラマが待っていました。プレーオフの過密日程による棋士のコンディションへの影響を考えると、名人戦開幕を1、2週間でも延期することが可能ならば、それが最善だと思われます。しかし、主催者や名人戦の対局場と今から日程の調整を付けることも、現実的には難しそうです。
6者プレーオフという前代未聞の事態に対し、将棋連盟の手合課はどのように対処するのか、注目されます。
コメント
[…] A級順位戦は異例の結末、空前の6者プレーオフの超過密日程に悲鳴? […]
by 順位戦プレーオフ開幕!久保vs豊島の展開予想(本日対局) | 将棋を100倍楽しむ! 3月 4, 2018 9:06 am