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王将戦第5局は豊島八段が勝利!カド番をこらえ更なる過密日程に

time 2018/03/07

第67期王将戦7番勝負第5局は96手までで豊島八段が勝ち、2勝3敗としました。第6局は3月14~15日に行われます。


序盤に不思議な駆け引きが行われた末、久保王将の四間飛車対豊島八段の居飛車になり、一日目から両者居玉のまま大決戦になりました。仕掛けの直後は久保王将の方がやや良さそうでしたが、はっきりとリードを広げる手も難しかったようで、豊島八段が反撃に転じた後は一気に押し切りました。

久保王将の先手で、▲7六歩、△3四歩、▲6八飛、△1四歩、▲1六歩、△3五歩、▲2八銀と進みます:

△1四歩を先手が受けないければ、後手は△1五歩と端を詰めてから居飛車で指します。本譜のように▲1六歩と受けると相振り飛車の際に僅かに後手が得をするため、△3五歩と三間飛車を見せました。

久保王将は今シリーズの先手番での相振り飛車では角道を止めていましたが、本局は3手目▲6八飛に見られるように角道を止めずに指すと決めていたようです。その場合は▲3八銀と上がる展開にはなりづらいので(△2八角のスキがあるため)、▲2八銀も自然な一手です。

驚愕の△6二銀

ここで豊島八段は21分考え、△6二銀(!)と上がりました。本譜のように▲1七銀から3五歩を狙われるだけに大胆な一手ですが、▲2八銀を壁銀の悪形として咎めるべく居飛車に戻すのは考えられる手ではあります。

とは言え、△3五歩と突いたからには豊島八段は当初は相振り飛車の予定だったはずで、しかも局後には「△6二銀はあまり良くなかった」と語っているように、事前に深い研究があったようにも思えません。この辺りは何とも不思議な進行でした。

この後先手は▲3五銀と一歩得に成功します。後手は右銀を足早に繰り出しますが、先手が元々四間飛車に構えていることもあって反撃を誘発する形となり、一日目から先手の飛車が成り込むのっぴきならない局面まで進みます。

二日目12時頃の局面。▲7三竜には△9五角がありますが、後手からも△6三銀とは取れない(▲同歩成が厳しい)ので、激しい斬り合いの中で台風の目に入ったかのような瞬間です。久保王将は▲7四桂と指しましたが、△6三飛、▲同歩成、△7四銀、▲5二と、△同金、▲7一飛に、△7七歩から反撃に転じられて形勢を損ねたようです。

▲7四桂では代わりに▲4八玉か▲7七桂で△9五角を消して、△6四銀には▲8三竜としてゆっくり後手の飛車をいじめる展開を目指した方が良かったのではないでしょうか。

ここから△5八と、▲同金に△6七桂成が鮮やかな決め手で、以降は豊島八段が一気に寄せ切りました。今年度の対久保戦では相振り飛車があまりうまくいっていなかった豊島八段ですが、順位戦プレーオフに続き本局でも居飛車へ回帰したことが結果的には功を奏した格好となりました。

豊島八段を待ち受ける更なる過密日程

豊島八段は10日に順位戦プレーオフ第2局の佐藤九段戦、それに勝つと12日にプレーオフ第3局の広瀬八段戦、さらに14日には早くも王将戦第6局と、相変わらず超過密日程が続きます。依然として一敗も許されない厳しい状況ですが、今期の高勝率を何とか形ある結果につなげたいところです。

一方の久保王将としては、順位戦最終局以降の悪い流れを断ち切るためにも、次戦で防衛を決めてしまいたいところ。第6局まで他棋戦の対局はないため、それまでにコンディションを立て直せるでしょうか。

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