2018/10/16
第45回将棋大賞選考会が2日、東京将棋会館で行われ、最優秀棋士賞には羽生善治竜王が選ばれました。昨年度は王位と王座を失冠したものの、棋聖防衛と竜王奪取、名人挑戦獲得などの成績が評価されました。同賞の受賞は2年ぶり22回目となります。
最優秀棋士賞は羽生竜王と藤井六段の一騎打ち
報道各社の将棋担当記者による投票によって決定する選考会。最優秀棋士賞は藤井聡太六段との一騎打ちの末、9票対4票で羽生竜王が選ばれました。
また、記録4部門で1位となった藤井聡太六段は、新人賞と共に「最優秀棋士賞に極めて近い」という意味で特別賞も贈られました。
その他、優秀棋士賞には菅井竜也王位、敢闘賞には豊島将之八段が、それぞれ初めて選ばれています。
羽生竜王のコメント:
山あり谷ありの1年でしたが、このように評価をして頂きとても名誉に感じています。昨今の将棋界の尋常ではないスピードで変化を続けているので、これを励みにフットワーク軽く前進を続けたいと思います。
藤井六段のコメント:
特別賞に選んでいただき、ありがとうございます。これからも将棋の可能性を追求し、棋力をあげるべく一層精進していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。
受賞者一覧
- 最優秀棋士賞:羽生善治竜王(2年ぶり22回目)
- 優秀棋士賞:菅井竜也王位(初)
- 敢闘賞:豊島将之八段(初)
- 新人賞:藤井聡太六段(初)
- 特別賞:藤井聡太六段(初)
- 最多対局賞:藤井聡太六段 73対局(初)
- 最多勝利賞:藤井聡太六段 61勝(初)
- 勝率1位賞:藤井聡太六段 0.836(初)
- 連勝賞:藤井聡太六段 29連勝(初)
- 最優秀女流棋士賞:里見香奈女流五冠
- 優秀女流棋士賞:伊藤沙恵女流二段
- 女流最多対局勝:伊藤沙恵女流二段
- 升田幸三賞:青野照市九段、佐々木勇気六段(横歩取り青野流、勇気流)
- 升田幸三賞特別賞:故大内延介九段九段(振り飛車穴熊戦法の確立)
- 名局賞:竜王戦第4局・渡辺明竜王vs羽生善治棋聖
- 名曲特別賞:朝日杯決勝・藤井聡太五段vs広瀬章人八段、竜王戦6組・牧野光則五段vs中尾敏之五段(持将棋局)
感想
最優秀棋士賞から新人賞までは、予想通りの結果となりました。特別賞は引退する名棋士に贈られることが通例だったため今年は予想していませんでしたが、藤井六段の類まれなる成績に対しても贈られることに異論はないでしょう。
名局賞は竜王戦第4局でした。羽生竜王の寄せが光った好局ではありましたが、タイトル戦という舞台の大きさを重視するかどうかで今年は大きく意見が分かれそうな将棋が多く、選考は難航したと思われます。
その他、升田幸三賞は横歩取りに大きな変革をもたらしたことが評価され、佐々木六段の勇気流と、そのベースとなった青野九段の青野流が同時受賞しました。過去に後手番の横歩取りを得意としていた棋士の中で、佐藤天彦名人のように最近では採用率を減らしている棋士が見られるのも、勇気流の流行と無関係ではないでしょう。
最後に、昨年までは将棋ファンにしか興味を持たれなかった将棋大賞ですが、今年は報道各社が一斉に羽生竜王の最優秀棋士賞と藤井六段の新人賞・特別賞を報じていました。これも藤井六段によるブームの影響で、普及への貢献度は特別賞の枠を大きく超えていますね。
ちなみに、こちらが管理人の事前予想でした: