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今年は「敢闘賞」とは言わせない!豊島八段が久保王将に快勝

time 2018/04/03

第89期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント1回戦が行われ、豊島将之八段が久保利明王将を80手で下しました。


各棋戦で激突する久保vs豊島

3月に王将戦と順位戦プレーオフが重なる超過密日程を勝ち進みながら、惜しくもタイトルに届かなかった豊島八段。今年度初対局となった棋聖戦では、王将戦で敗れた久保王将とまたしても顔を合わせました。

序盤に微妙な駆け引きが行われた末、先手の久保王将の石田流を豊島八段が居飛車で迎え撃ちました。

直前に豊島八段が△5五歩と突いた手が意欲的な一手。先手が持久戦に応じれば、同じように角道を止める△4四歩と比べてやや得になると見ています。ただし、5筋の位が負担になる可能性もあり、豊島八段が具体的にどのような構想を描いていたのかは気になるところです。

本譜は久保王将が▲5六歩と真っ向から反発したため、お互いに陣形整備が完了する前に大駒が乱れ飛ぶ空中戦に突入しました。

端の軽妙手

先手が▲4六角のラインを切り札に端攻めを決行し、後手は△2四角と投入。それを見た先手がさらに▲2六飛~▲2四飛と切って迎えた局面。久保王将は▲1五香と走りましたが、驚いたことにこの当然に見える継続手が疑問手だったようです。

▲1五香では後手の合駒が飛車しかないことに目を付けた▲1四角が有力で、△2二玉に▲4一角打、△同金、▲同角成、△2三角、▲2一金で、先手の攻めが繋がるかどうかのギリギリの戦いが続いていました。

本譜は▲1五香、△2二金、▲5六角に、△1七歩が妙手でした。▲3四角と出られると端が受からないようですが、△1八歩成、▲同玉、△1四歩が絶好の返し技で、▲同香に△1五飛から急所の香を取られてしまいます。▲3四角が成立しなくなった先手は突如として攻めを繋げる手段を失い、以下は端から素早い反撃を決めた豊島八段が短手数で快勝しています。

今年こそ「残念賞」とは言わせない

昨年度前半の爆発的な勝ちっぷりと、王将戦と順位戦プレーオフが重なった3月の超過密日程の中での奮闘が評価され、将棋大賞敢闘賞を受賞した豊島八段。しかし7割近い勝率を未だに維持したままA級まで上り詰めている豊島八段の通算成績からすると、4度のタイトル挑戦でいずれも栄冠をつかみ損ねている現実は不思議としか言いようがなく、「敢闘賞」という言葉も「残念賞」のように響いてしまいます。

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しかし、豊島八段は王将戦と順位戦プレーオフでの敗戦を引きずることなく、その後西川六段、千田六段、そして今日の久保王将と、鬱憤を晴らすかのように勝ち続けています。特に久保王将を撃破した棋聖戦では挑戦まで残り3勝と迫っており、他の準々決勝進出者の顔ぶれを見ても豊島八段が挑戦の最有力候補だっと言っても過言ではないでしょう。大勝負で幾度となく苦渋を飲まされてきた久保王将に勝利し、幸先の良いスタートを切った今年度こそ、多くのファンが待ち望んでいる初タイトルを獲得することが出来るでしょうか。

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