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藤井六段が今年度初勝利、連勝ストップ後の初戦は手厚過ぎる勝ち方

time 2018/04/05

第44期棋王戦1次予選、藤井聡太六段vs古森悠太四段の対局は、藤井六段が145手で勝利しました。


出典:Abema TV

スローペースな持久戦

古森四段の四間飛車に対し、藤井六段は矢倉から右銀も引き付ける玉頭位取りで対抗します。お互いに手が出しづらい展開となり、長考の応酬が続きますが、古森四段が敵陣へ角を打ち込んで戦いが始まりました。

▲2八飛に対し古森四段は△4九角成としましたが、この後の展開を見ると△5四角成とじっくりした展開を目指す方が勝ったようです。▲6七角、△3九馬、▲2六飛、△3八馬、▲2四歩、△同歩、▲同飛と進んでみると、玉形の差が大きく一直線の斬り合いでは勝てない後手は2筋突破が受けづらい形です。やむなく△5六歩と突いて角道を止めましたが、▲同角、△同馬、▲同歩に△2三歩と打つしかなく、馬を消された上に先手の飛車が軽い形となってしまいました。

先にミスをしない力

古森四段が巧みに右辺の駒を活用し、先ほどよりかなり差が詰まっていますが、▲6七銀と引いた手が柔軟な受けでした。対して△5五歩ともたれておけば実戦的には大変な局面でしたが、序盤からスローペースが続いたことで古森四段の残り時間は既に残り4分(藤井六段は約20分強)。両者共に先が見渡しづらいこの局面で指された▲6七銀が、攻めさせられている後手を非常に焦らせる一手であったことは間違いありません。

本譜は▲6七銀に対し、△6四歩、▲4五歩、△同金、▲7六銀直、△4六歩、▲同金、△同金、▲同飛に△6八金と迫りましたが、▲7七金打が冷静な受けで、以下は差が開いてしまいました。

万全を期した勝ち方

大駒の働きと玉頭の勢力関係の差により先手が勝勢に近く、色々な勝ち方が見える局面ですが、藤井六段は▲6四歩、△同飛、▲6五金と非常に手厚い順を選びました。これまでの藤井六段の勝局にもこのような横綱相撲のような勝ち方は良く見られましたが、優勢な局面でも紙一重の斬り合い勝ちを目指した先月の対糸谷八段戦(終盤の▲4三歩)とはかなり印象の異なる指し回しではあります。

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局面の形勢や残り時間などの状況が異なるため、完全に憶測でしかありませんが、連勝が途切れた前局の対井上九段戦で、藤井六段としては非常に珍しい終盤の見落とし(△4一玉)があったことが、手堅い勝ち方を選ばせたのかも知れません。

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次戦は最速での七段昇段に繋がる一戦

藤井六段の次の対局は10日に行われる竜王戦5組準々決勝、対阿部光瑠六段戦です。この対局を含め竜王戦で残り2連勝すれば、竜王戦での2年連続昇級が決まり、最速での七段昇段となります。阿部六段は昨年度は7割近い勝率を上げており、直近では棋聖戦で佐藤天彦名人を破って準々決勝進出を決めるなど勢いに乗っています。熱戦が期待されますね。

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