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澤田六段が豊島八段に勝利、王位挑戦へ前進する完璧な指し回しを徹底検証

time 2018/05/11

第59期王位戦挑戦者決定リーグ白組、豊島将之八段vs澤田真吾六段の対局は、澤田六段が113手で勝利しました。


勝者が挑戦者決定戦へ大きく近づく大一番となった、3連勝同士の直接対決を検証します。

豊島八段(左)、澤田六段。出典:日本将棋連盟

ギリギリの仕掛け    

澤田六段の先手で角換わりとなり、腰掛け銀+4八金+2九飛の先後同形から、両者の陣形が微妙に変わった瞬間に澤田六段が果敢に仕掛けます。

ここから▲3五歩といきなり突き捨てたのが決断の一手。△同歩なら▲4五桂から2筋を交換し、▲7五歩の桂頭攻めを狙います。後手としては△4四歩~△4五歩と桂を取り切っても、▲7三歩成と桂を取り返されると6二金が玉から離れることや▲4四桂の傷が残ることもあり、簡単には受け切れません。ただし、△3五同歩と取り、▲4五桂に△3四銀や△4二銀と引いて受けに回る展開も十分考えられました。

本譜は豊島八段が▲3五歩に△4四歩と応じ、▲3四歩、△同銀、▲2四歩、△同歩、▲同飛に△3五銀とより積極的に応じたため、激しい攻め合いとなりました。

▲3五歩~▲4五桂と足早に仕掛けるのは将棋ソフトの棋譜から近年のプロ棋界へ広まった手法で、一昔前までの価値観よりもかなり幅広い局面で成立することが分かったことで角換わりの序盤は全体的にスピード感を増しました。ただし、先後同形に近い本局の局面がこの仕掛けにより先手有利だとすると、後手の駒組がかなり制限されることになるため、今後の重要な研究課題となりそうです。

紙一重の斬り合い

先手は桂得に成功したものの、6八玉型が飛車に弱い形なため早い攻めが要求されています。そこで▲4五桂と跳ねたのが速度アップの手筋で、△同歩なら▲4四角が八方を睨んだ絶好手になります。ただし、あえて△同歩と取り、▲4四角に△4二玉、▲2六角、△2九飛と進める順も有力でした。

本譜は▲4五桂に△2八飛と攻め合いましたが、▲3八角と投入したのが好判断で、次の▲2九歩を見せられた後手が焦らされる展開となりました。

2八飛を取り切る間にと金に迫られた先手玉は非常に怖い形ですが、後手玉も次の▲4三桂や▲4三銀打が非常に厳しいため、ここではどうやら既に後手が勝てないようです。例えば△5八角、▲7九玉、△7六桂、▲同銀、△同角成と進めれば7六馬が攻防に働きますが、構わず▲4三桂と打たれると、△同金と取れない(▲3二銀以下必至)ためすぐに急所の馬を外されてしまいます。

本譜は△5八と(▲同玉だと将来△2五角が攻防の王手になることが大きく、△3三歩で受け切れます)、▲7九玉、△5四角と粘りましたが、やはり▲4三桂が厳しい追撃で、△同角、▲同銀不成、△同金に▲5二角から先手の攻めが続く形となりました。

ハイレベルな完敗

▲6二飛成と銀を取られたところで豊島八段が投了しました。△同金は▲1三銀で簡単に詰み、△2二銀にも▲同馬からかなり長手数ながら詰みがあります。即詰みとはいえその手数は20手を超えるもので、先手玉は部分的には受けが利かない形なので詰まし損ねて駒を渡すと事件となりますが、この二人のレベルでは相手の読み切りを確認するまでもないということなのでしょう。

本局は澤田六段が終始積極的な指し手を続け、殆ど受けの手を指すことなく強敵を攻め倒しました。豊島八段としては、特に疑問手を指していないにも関わらずどの変化も際どく勝てないという、トップ棋士同士の対戦ならではの展開となってしまいましたが、それほど澤田六段の指し回しは完璧に近いものでした。

1年前の雪辱

3連勝同士の直接対決に勝利した澤田六段はこれで白組単独首位となり、挑戦者決定戦進出へ向けて大きく前進しました(最終戦で自身が敗れ豊島八段が勝った場合のみプレーオフ)。1月に朝日杯で藤井聡太六段に完敗して以降は一時6連敗を喫するなどやや調子を崩していましたが、王位リーグではこれで昨年度から9連勝と抜群の相性の良さを発揮しています。

澤田六段はあまり多くを語るタイプではありませんが、昨年は挑戦者決定戦で敗れた同年代の菅井竜也七段(当時)がその勢いのまま初タイトルを奪取しており、相当悔しい想いをされたことは容易に想像されます。今年こそは自身初のタイトル挑戦を果たし、昨年の雪辱を果たすことが出来るでしょうか。

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