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藤井七段が中村六段に快勝、棋王戦本戦で菅井王位との雪辱戦へ

time 2018/06/01

第44期棋王戦予選、藤井聡太七段vs中村亮介六段の対局は、藤井七段が95手で勝利し、本戦進出を決めました。


中盤までは難しい形勢が続き、藤井七段も感想戦では自信がない局面もあったとのことでしたが、終わってみれば大差をつけての快勝となりました。

出典:Abema TV

序盤の創造力

中村六段の四間飛車に対し、先手の藤井七段は居飛車穴熊を目指しました。

角交換型の対抗形での居飛車穴熊は、居飛車が打開出来るかどうかという展開になりやすいですが、本局は藤井七段がここから▲3七角と打って決断良く仕掛けを目指しました。以下△7三桂、▲6六銀、△8三銀、▲7五歩、△7二金に、▲5九金と引いたのが、▲7八飛の転換を狙った柔軟な発想でした。

藤井七段の世代的には対ノーマル四間飛車の経験はあまりないはずですが、もしも過去に類似形を指した経験ではなくその場のひらめきで▲5九金の構想を立てたのだとすると、いつもながら驚異的な発想力だと言わざるを得ません。

ただし、後手も△4六歩、▲7四歩、△同銀、▲4六角、△6五歩、▲7七銀引に、△9五歩、▲同歩、△9六歩と端に嫌味をつけたのが実戦的な指し方で、実際の形勢は難解です。

振り飛車の受難

後手が△4四角と打った局面。2二銀の遊び駒はかなり痛いものの、先手の穴熊にも端や角筋による傷が残っており、単純な攻めでは反撃が気になります。しかしここで▲6六歩と突いた手が腰の入った一手で、大味になりそうだった先手の攻めに一気に深みが増しました。△同歩にはじっと▲6八金上とされると、4四角が遮断されたことと次の▲6四歩の狙いが厳しく、後手は非常にまとめづらい恰好です。

穴熊の堅さがどの変化でも物を言いそうな、現代のノーマル振り飛車の受難を象徴するような展開となってしまいましたが、結果的にはそれでも△同歩と取る手が勝ったようです。

中村六段は約1時間の長考に沈んだ末に△6二飛と回りましたが、思わしい変化は見つけられませんでした。ここで持ち時間を残り11分まで使ってしまったことも大きく、この後は差が開いてしまいました。

▲7八香を見て中村六段の投了となりました。「堅い、攻めてる、切れない」という穴熊の理想的な展開に加え、駒の働きも大差、駒の損得も7五角が取られそうな形で実質先手の駒得とあっては、投了もやむを得ない局面です。互角に近い形勢から自然にリードを広げてしまう藤井七段の指し回しは、いつもながら安定感抜群でした。

井上門下、再び

勝った藤井七段は棋王戦本戦では菅井竜也王位との対戦が決まっています。藤井七段は昨年菅井王位に完敗を喫していますが、菅井王位はある会でのスピーチで「藤井君より自分が強いということを皆さんに知ってもらいたい」と語るなど、藤井七段への対抗心を堂々と公言している珍しい棋士でもあります。

王座戦は挑戦まで残り3連勝、竜王戦は決勝トーナメント進出まで後1勝と、各棋戦で大きな勝負を控えている藤井七段ですが、1回戦屈指の好カードが実現した棋王戦の動向からも目が離せなくなりました。

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