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3月27日の羽生vs谷川戦が待ち切れない!光速流の名局:第3位

time 2018/03/24

3月27日の王位戦挑戦者決定リーグで、羽生善治竜王対谷川浩司九段の通算166局目の対局が行われます。


出典:朝日新聞

谷川九段はここ数年は不本意な成績が続いていましたが、今年度は他棋戦で菅井竜也王位に快勝するなど、復調の兆しを見せています。そして、JT杯とNHK杯で優勝した山崎隆之八段や、今期勝率8割に迫る大橋貴洸四段などを予選でなぎ倒し、王位リーグ入りを果たしたことで、羽生竜王との3年ぶりの対局が実現しました。

光速流復活の兆し、谷川九段が菅井王位に快勝

同一カードとしては中原vs米長、大山vs升田に次いで3位の対局数を誇るこの両者ですが、近年は羽生竜王がかなり押しています。しかし、谷川九段の全盛期に若き羽生竜王が世代交代を懸けて挑んだ1990年代前半、羽生七冠達成直後に谷川九段が竜王と名人を奪還して復活を果たした1990年代後半、そして羽生世代がタイトルを独占する中で谷川九段だけが孤軍奮闘を続けた2000年代前半と、羽生vs谷川戦では数多くの名局が生まれています。

谷川九段が往年の底力を発揮し、名勝負をもう一度見せてくれることを期待するファンは多いはずです。その一人である管理人が、過去の羽生vs谷川戦の中から光速流の名局ベスト3を勝手に選んで、3日に渡りご紹介します。

本日は第3位、羽生vs谷川戦の中でも屈指のインパクトのある名手が生まれ、数多くの漫画やドラマで作中の棋譜のモデルとして使われている名局です。

第62期棋聖戦五番勝負第1局

1993年6月19日
羽生善治3冠(0勝) vs 谷川浩司棋聖・王将(0勝)
対局場:大阪府大阪市「ホテルニューオータニ大阪」
持ち時間:各5時間

前年の竜王戦でフルセットの末に谷川竜王からタイトルを奪取したことで、羽生3冠は初めてタイトル数で谷川2冠を上回りました。谷川2冠も棋王戦で挑戦者になりますが、ここでもフルセットの末に羽生3冠に敗れ、時代が動く気配が漂っていました。

羽生3冠の先手で相矢倉となり、両者共に雀刺しに構える珍しい展開に。

双方の角と守備銀が良く利いていて、攻め駒を働かせることが難しい形ですが、ここから△2五銀、▲3八飛、△1四歩と逆サイドから後手が戦端を開きます。1筋の逆襲が受からない形ですが、9二飛や6二銀が立ち遅れそうな展開でもあり、先手も▲2六歩、△同銀、▲2八飛、△5四歩、▲7三角成と反撃し、難解な形勢です。

一直線の斬り合いへ

後手は1筋の香を取って駒得を果たしますが、先手も▲4四桂と急所の金へ迫っています。△4二金寄と受ける手も有力ですが、「光速流」は自玉に見向きもせずに△8一香。以下▲3二桂成、△同玉、▲4四銀、△同金、▲同歩、△8六香と、足を止めての壮絶な殴り合いへ突入します。

▲3四金としばられて後手玉は風前の灯ですが、谷川2冠はここも手抜いて△8七歩成。▲同金は△8六銀、▲同玉、△8二飛以下詰むため、▲同金と取りますが、△7九飛、▲8八玉、△7八銀、▲4三歩成、△4一玉と進んで次の図へ:

後手玉はいかにも詰みそうな形ですが、▲5二金と迫っても△同飛、▲同と、△同玉、▲4三角、△6二玉、▲2二飛に、△4二歩が中合いの妙手で、最後は後手玉が8四まで逃げた末に打ち不詰めの形となり、奇跡的に詰みません。しかし、羽生3冠も秘術を尽くし、▲4二金、△同飛、▲同と、△同玉、▲4八飛と、王手銀取りの攻防手を繰り出します。

豪快な決め技、「△4七角」

△5一玉のような平凡の受けでは▲7八飛で先手玉が一気に安全になってしまいますが、ここで△4七角(!)が最後の決め手でした。

▲7八飛は今度は△同飛成、▲同玉の時に4七角が働き、△6九銀以下詰み。本譜はやむなく▲同飛と取りましたが、△5一玉、▲5三香、△6二玉で、先手に角を渡したにもかかわらず後手玉はギリギリ詰まず、谷川2冠の勝ちとなりました。序盤からずっと立ち遅れていた7三の銀が、最終盤で守備の要として利いてくる辺りも、「勝ち将棋、鬼のごとし」ですね。

「△4七角」が歴史的な名手であることは間違いありませんが、そこに至るまでに両者がミスと呼べるほどのミスを一手も指さず、一直線に斬り合ったギリギリの戦いの末にこの名手が生まれたことが、本局をより美しい棋譜へ昇華させています。

幸先のいいスタートを切った谷川2冠でしたが、五番勝負はその後3連敗でまたしても羽生3冠に敗れてしまい、羽生時代の到来がより濃厚となって行きます。「△4七角」レベルの名手を繰り出さない限り勝てないのだとすれば、7冠へ向けて邁進していた当時の羽生3冠の力がいかに傑出していたのかがうかがえますね。

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管理人の棋力はアマ五段くらい。好きな棋士は谷川浩司九段、「将棋の渡辺くん」に登場する渡辺棋王、佐々木勇気六段の話をする三枚堂達也六段、「りゅうおうのおしごと!」に登場する空銀子女流二冠です。

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