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3月27日の羽生vs谷川戦が待ち切れない!光速流の名局:番外編

time 2018/03/24

羽生vs谷川戦の名局を取り上げた記事が予想以上に多くのアクセスを頂き、改めて谷川九段の人気の根強さを実感しました。


3月27日の羽生vs谷川戦が待ちきれない!光速流の名局:第3位

そこで、番外編として今年度の谷川九段の将棋の中から、全盛期の面影を強く感じさせる勝局をご紹介します。

第59期王位戦予選

2018年1月22日
谷川浩司九段 vs 大橋貴洸四段
対局場:関西将棋会館
持ち時間:各4時間(千日手指し直し局)

王位リーグ入りを懸けた予選決勝。大橋四段はデビュー1年目ながら今年度は42勝12敗(勝率0.778)という好成績を挙げており、王位戦予選の準決勝では藤井聡太六段にも勝利しています。大型新人を多く輩出している近年の関西将棋界においても、藤井六段がいなければ間違いなく大注目を集めていたであろう期待の若手棋士です。

藤井六段に2度勝った男、今期勝率8割に迫る大橋四段とは?

千日手指し直しとなった後の本局では、後手の大橋四段が谷川九段の伝家の宝刀ともいえる角換わりを受けて立ちました。ここ2年ほどで急速に角換わりの主流となった後手の6二金+8一飛型に対し、谷川九段は旧来の5八金型から▲4七金と上がります。

先手が▲6六歩と指した局面。ここを突くと後手が△6五歩から先攻してくることが目に見えているため、思い切った手にも見えますが、先手も▲3五歩と反撃し、△6六歩、▲4五桂、△4二銀、▲3四歩と進み、均衡は保たれます。

▲6三歩と、6二金型の急所を叩いた局面。大橋四段は△同金と応じましたが、▲7二角、△7一飛、▲8三角成と進んでみると、8筋攻めの威力を大きく軽減されたことが痛く、やや形勢を損ねたようです。

攻めの銀が後退してしまう指しづらさはありますが、△同銀と取っておけば、▲8五歩には△9八歩、▲同香、△8六桂で攻めが切れることはないので、後手も十分戦えました。

最速の斬り合いへ

お互いの急所に歩が突き刺さった非常に怖い局面ですが、谷川九段は構わず▲6四歩と斬り合います。そして△5六銀成に対し、遊んでいる金で取る手が当然に思える局面で、あえて▲同歩。

恐ろしいことに、この後の進行を見る限り、この時点で勝敗は事実上決したようです。

以下△8七歩成、▲同金、△6七歩成、▲6三歩成、△5九角、▲6九金、△6八銀、▲同金、△同と、▲同飛、△同角成、▲同玉、△6六歩と進み、クライマックスへ。

光速の詰み

後手が好きなように攻めたようにも見える手順でしたが、実際は谷川九段が虎視眈々と持ち駒を蓄えていたのです。そしてここから後手玉へ襲い掛かります。

▲2二銀、△同金、▲同歩成、△同玉、▲2三銀、△1三玉、▲1四銀成、△2二玉、▲2三成銀

△同玉、▲3五桂、△3二玉、▲4三角、△同銀、▲同桂成、△2二玉

▲2三銀に対する△1三玉、そしてこの△2二玉など、大橋四段も最善を尽くして逃げますが、当然ながら谷川九段は全て読み切っていました。

▲3三成桂、△同玉、▲3四歩、△2二玉、▲3三金、△1三玉、▲2二銀、△1四玉、▲1五歩、△2五玉、▲3六銀まで、谷川九段の勝ち

まるで詰将棋のような31手詰でしたが、特筆すべきは最後の▲3六銀を可能にしているのが、即詰みの初手▲2二銀の14手前に△5六銀成を▲同金ではなくあえて▲同歩と取った手だということです。少なくともこの時点で(実際には恐らくそれ以前から)谷川九段は本譜の詰み筋に必要な持ち駒の入手を計算していたことになります。

10代の頃の谷川九段が現代へタイムスリップし、明日の詰将棋解答選手権で藤井聡太六段と対決したら・・・などと想像してしまうほど、光速流の切れ味は時代を超えて観る者を魅了します。

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