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勝てば現役続行、負ければ引退!極限の大一番を明日迎える中尾五段

time 2018/03/26

明日27日には王位戦挑戦者決定リーグで羽生善治竜王vs谷川浩司九段という注目の一戦が行われますが、その裏ではこの黄金カード以上の大一番が組まれています。


それは、棋王戦予選の中尾敏之五段vs青嶋未来五段戦です。フリークラスの中尾五段にとって、この将棋は勝てばC級2組復帰、負ければ引退という、文字通り棋士人生を懸けた大勝負なのです。

中尾敏之五段(出典:日本将棋連盟

C級2組復帰のラストチャンス

中尾五段は今年度がフリークラス10年目で、「10年以内にC級2組へ復帰出来なければ引退」という引退規定の瀬戸際に立たされています。しかし、3月22日の対局で日浦市郎八段に勝利したことで今年度の成績が17勝10敗となり、「『参加棋戦数+8』勝以上かつ勝率6割以上」というC級2組への昇級条件まで後1勝と迫りました。今年度最後の対局となる明日の一戦で勝利すれば、フリークラスへ降級した後にC級2組を果たした史上3人目の棋士となります。

将棋界の引退制度とフリークラス

一度はついえたかに思えた希望

2月27日に行われた竜王戦の予選で、中尾五段は戦後史上最長手数を更新する420手もの大熱戦を繰り広げましたが、午前4時50分まで終局がずれ込んだ持将棋指し直し局で敗れてしまいました。この時点で今年度の成績は16勝10敗で、C級2組復帰までには最低でも残り2連勝が必要となりました。しかし、今期中に対局が組まれる棋戦の中で中尾五段が勝ち残っていたのは棋王戦しか残されておらず、通常の日程では今年度中に2局以上対局が組まれる可能性は非常に低くなったため、昇級は絶望的かに思われました。

負ければ引退!?中尾五段vs牧野五段は異例の超超手数の末指し直しに

しかし、3月22日の棋王戦予選3回戦の対局開始前までには、この対局の勝者が4回戦を27日に戦うことが決定していたようです。

対局日程に連盟のそん度?

予選のトーナメント表を見ると、中尾五段の4回戦だけが明らかに早く組まれています。反対の山の3回戦はいずれも行われていませんし、他の予選ブロックでは2回戦すら終了していない組もあります。

公式戦の対局日程は、基本的に将棋連盟の手合課に一任されています。「このままだと今年で引退ながら、後1局でも対局があればC級2組復帰のチャンスがある」という前例のない極限の状況に際して、今回は連盟側のそん度が働いたようです。

対戦相手は強敵

青嶋五段(出典:日本将棋連盟

対戦相手の青嶋未来五段はプロ入り3年目の23歳。2016年度には年間勝率1位に輝き、今年度は棋聖戦で挑戦者決定戦まで勝ち進んだ、若手有望株です。中尾五段としては棋士人生を懸けた大一番で強敵と当たってしまいましたが、中尾五段も今年度は朝日杯で佐藤康光九段を246手の大熱戦の末に破るなど、勢い乗っています。また、若手強豪の青嶋五段に勝利を収めることが出来れば、C級2組復帰に際して先ほど挙げた「日程のそん度」云々でケチをつける人間は誰もいないでしょう。

勝てば順位戦復帰、負ければ引退という、将棋界の歴史上でも屈指の極限状態の中で戦う中尾五段。一方、将棋界には「自分には消化試合でも相手にとって大事な対局にこそ、全力を尽くすべし」という米長邦雄永世棋聖の名言もあり、青嶋五段としても当然負けられない一戦です。運命の行方は、果たして。

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