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羽生竜王が王位リーグ3連勝、華麗過ぎる寄せを決めていざ名人戦へ

time 2018/04/06

第59期王位戦挑戦者決定リーグ、羽生善治竜王対村山慈明七段の対局は134手で羽生竜王が勝利しました。羽生竜王は紅組でただ一人3連勝となり、挑戦者決定戦進出へ向けて大きく前進しました。


出典:Abema TV

序盤の神秘

横歩取りの出だしから先手の村山七段がオーソドックスに▲3六飛と引き、持久戦になりました。

左辺が戦場になりそうなので後手玉を移動させる手は思い浮かびますが、羽生竜王はここで玉を5二ではなく、5一へ。この後4一~3一としたため結果的には同じ展開となりましたが、何故どう考えても自然に思える△5二玉ではなく△5一玉なのか、全く想像がつきません。トップ棋士の序盤のこうしたちょっとした違いの裏に潜む膨大な思考は非常に興味深いですが、残念ながら一生理解できそうにありませんね。

羽生ワールド

細かいポイントを探り合うじりじりとした展開が続き、ようやく桂交換が行われた後の局面。まだまだ難しそうな局面ですが、羽生竜王はここから驚きの手順で一気にリードを奪います。

△7六銀、▲7七歩、△8六桂(!)

持ち駒の桂をへき地に打って殆ど働いていない7八金を捌かせてしまうという、アマチュアが指せばほぼ間違いなく筋の悪い悪手になりそうな手が、本局では例外的な妙手でした。感想戦では村山七段もこの手をうっかりしていたそうですが、▲7六歩、△7八桂成に、▲8六角と自然に逃げると△2七歩、▲同金、△8四飛から飛車を切られ、後手陣は6一金が飛車に非常に強い構えなため△6八成桂~△6七角といった確実な攻めを間に合わされてしまいます。

玉の反対側を攻める羽生ゾーンを彷彿とさせる△8六桂が成立するのであれば、7六銀に威張られるのがシャクでも▲7七歩に代えて▲1六歩などと我慢するよりありませんでした。とはいえ、本譜の△7八桂成に対して村山七段が▲4六角、△4五金、▲5七銀と辛抱したのはさすがの手順で、この後羽生竜王が最短の勝ちを目指したこともありギリギリの斬り合いに突入しました。

「羽生ゾーン」と「藤井ゾーン」:天才による中盤戦の技術革新

華麗な寄せ

2八へ歩を埋めたことで先手玉もかなり耐久度が上がっていて、後手玉も次に▲2四桂がかなり厳しい形です。しかしここで羽生竜王が放った△4七銀が華麗な決め手でした。▲同金にはじっと△3九飛と打つ手が妙手で、次の△2七角以下の詰みと△3八角の必至を同時に受ける手がありません。村山七段は▲4八金打と粘りましたが、△3八銀成、▲同金、△4七金、▲3九銀に△5八飛と打ち、羽生竜王が寄せ切りました。

連勝対決を制し、紅組優勝へ向けて大きく前進した羽生竜王。藤井聡太六段に敗れた朝日杯準決勝以降は無敗を維持したまま、4月11日に開幕する名人戦を迎えることになりました。今日付の朝日新聞の取材に対しては「自分の調子は今がまずまずの状態」と控えめに語っておられましたが、直近の対戦相手や将棋の内容を見ると客観的にはかなり充実されていることは間違いないでしょう。勢いに乗る最強の挑戦者に対し、佐藤天彦名人はどのように立ち向かうのでしょうか。

名人戦展望:羽生竜王が有利な4つの理由

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