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藤井六段が佐々木四段に快勝、最年少タイトルを目指す王座戦へ向けて弾み

time 2018/05/05

最年少タイトル挑戦へ向け、7日に王座戦決勝トーナメント初戦を迎える藤井聡太六段が、福岡市で行われたイベントで佐々木大地四段と公開対局を行いました。


こどもの日 QTnet将棋Day 2018「次世代将棋名人戦」にて。左から佐藤名人、佐々木四段、藤井六段

佐々木四段との公式戦の対戦成績は1勝1敗で、藤井六段が勝った将棋も最終盤の逆転勝ちでした。佐々木四段も各棋戦で活躍しており、地元九州での対局ということもあり熱戦が期待されましたが、結果的には藤井六段の快勝譜となりました。

最先端の序盤

角換わり模様の出だしから、後手が飛車先を受けずに早繰り銀を繰り出すという、プロ間では最新の研究課題の一つとなっている戦型に進みました。

先月行われた棋聖戦準決勝(豊島vs阿部戦)と同じ局面を迎えました。前例では阿部六段はあくまで飛車先を受けずに△7三桂と突っ張りましたが、豊島八段に▲7五歩の桂頭攻めと▲3四飛~5四飛の転換を絡めて攻められて形勢を損ねました。

本局の佐々木四段は△2三歩と打ち、▲3四飛、△4四角と進みましたが、後の進行を見ると飛車先交換と横歩を取らせた代償を後手が得ることは難しい印象でした。先の豊島vs阿部戦もそうですが、この戦型は現状では後手に工夫が求められているようです。

緩急自在

桂を活用させ、▲7四歩の垂れ歩も利かせた藤井六段が順調に指し進めていますが、数手前に打たれた△8九角も先手の金銀を睨む好位置にいて、次に△6六銀や△7六歩が回ると一気に混戦になります。しかしここからの藤井六段の指し回しはさすがでした。

▲2二歩、△同金、▲7三歩成、△同飛、▲7九歩

▲2二歩はまずは打ってみたい手筋ですが、その後にじっと▲7三歩成~▲7九歩と自陣に手を入れたのが緩急自在の手順でした。▲7八金にひもをつけたことで先手陣が急激に引き締まった一方、後手陣は浮き駒が多く、▲8二角、▲8五桂、▲5四飛など複数の傷を防ぐことは困難です。後手も正確に指し続ければ苦しいながらもまだ頑張れる順はあったかも知れませんが、持ち時間が短い公開対局(佐々木四段はこの局面で30秒将棋に入りました)で、ほぼ予想していなかったであろう▲7九歩という変化球に対応することは相当困難でしょう。

半年間の進化

数手進んで駒の働きの差がさらに拡大し、見た目以上に形勢に差がついていますが、ここで▲5二角と打って見た目にも先手勝勢がはっきりしました。金取りに加えて▲7四角成の狙いもあるため△同金と取るしかありませんが、▲同飛成とされた局面は後手陣が文字通り5筋で一刀両断にされています。以下は藤井六段が素早く寄せ切りました。

持ち時間が短い公開対局では公式戦と比べてどうしても一方的になりやすいものですが、公式戦での藤井vs佐々木戦がいずれも熱戦だっただけに、佐々木四段としては悔いが残る内容でした。この一局だけを見ると、約7ヵ月前に公式戦で戦った時から藤井六段の進化の速度が他の棋士を大きく上回っていると結論付けられてしまいそうですが、今後も何十局と戦うであろう相手だけに、佐々木四段としては次の公式戦の対戦では意地を見せたいところです。

勝った藤井六段は7日に王座戦決勝トーナメント1回戦で屋敷伸之九段と対戦します。最速でのタイトル挑戦が懸かる決勝トーナメントの開幕直前に、難敵に快勝してさらに勢いをつけた形となりました。王座戦では屋敷九段に勝つと2回戦で羽生善治竜王と激突する可能性もあり、相変わらず目が離せない対局が続きます。

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