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藤井六段が船江六段に快勝、新七段の驚異の大局観と終盤の切れ味を徹底検証

time 2018/05/18

第31期竜王戦ランキング戦5組準決勝、船江恒平六段vs藤井聡太六段の対局は、72手で藤井六段が勝利し、竜王戦4組昇級と七段昇段を決めました。


出典:Abema TV

意表の棒銀

角換わりの出だしから、先手の船江六段が一直線に棒銀を目指す意表の作戦を見せました。

プロでは圧倒的に腰掛け銀や早繰り銀が主流で、棒銀を評価しない棋士が多い中、早い段階で棒銀を明示した船江六段は明らかに本局のために用意した秘策だったと思われます。藤井六段は初手や2手目は必ず飛車先の歩を突いていたり、角換わりの採用率が非常に高いことなどから、序盤の対策を立てられやすいタイプではありますが、本局はまさにそのような展開となりました。

藤井六段は序盤から長考に沈んだ末、△7四歩と応じ、▲2六銀、△7二銀、▲1五銀、△4五角と進みました。

5四へ角を打つのは棒銀に対する一つの常とう手段ですが、△4五角は先手が▲7八金を省略していることをより直接的に咎めようとしています。対して▲6八玉と2筋から遠ざかる手が自然ですが、感想戦では△2二銀と引いておかれると将来△7三銀~△6四銀の反撃に近づく意味もあるため、船江六段は選びづらかったようです。

本譜は▲7八金と上がりましたが、△1四歩と強く催促され、▲2四歩、△同歩、▲同銀、△2七歩に、先手は玉が近すぎて▲3三銀成とは踏み込めない形です。後に▲5五角と打つ手があるため実際の形勢は難解ですが、棒銀で速攻を目指した先手としては4五角によって飛車を封じ込められる展開となり、当初の作戦は成功とはいえませんでした。

光る大局観

直前に先手が▲2一馬、△4二金、▲2三歩と着実な攻めを目指した局面ですが、ここで△2八銀と露骨に打ち込んだ手が妙手でした。通常であればまず成立しないほど筋が悪い手ですが、この場合は先手の玉と飛車が近いため次の△2九銀成や△2五桂などが予想以上に厳しくなっています。

△2八銀は、相手の玉ではなく攻め駒を攻めるような「羽生ゾーン」と呼ばれる羽生竜王の指し回しを彷彿とさせるとさせる一手で、この手で指せると見越していた藤井六段の大局観が光りました。船江六段も△2八銀はある程度予想していたようですが、対策も難しかったようです。

少し前の▲2一馬では▲4六歩、△6三角に▲1二馬と引いて、▲3四馬と活用する形を目指した方が良かったようですが、この辺りは駒得を主張していけばいい後手に対して先手は攻めが切れるとすぐに負けてしまう形で、既に先手が勝ちづらい将棋だったようです。

シンプルに勝つ強さ

先手も小駒を駆使して嫌らしく迫っていますが、ここから△4五角、▲6四桂、△6三金と進めたのが局面を分かりやすくする決め手でした。攻めの目標になりそうだった6三角が自由を得たことで先手は攻めの継続が難しくなり、後手は次に△3六角と出るだけで先手玉はほぼ受けが利かない形です。

最後は藤井六段が長手数の即詰みに打ち取り、七段昇段を決めました。ほぼ一本道の手順だとはいえ、解説者も△4八銀と指されるまで詰みだと気づいていなかったほど盲点に入りやすい形でもあり、いつもながら藤井六段が詰みを認識する能力は驚異的だとしか言いようがありません。

勝った藤井七段は今年度はこれで5戦全勝、1月以降では21勝2敗と、相変わらず驚異的なペースで勝ち星を積み重ねています。将棋の内容も殆どが相手にチャンスらしいチャンスを与えない快勝で、もはや敗れる姿が想像しづらくなっています。他棋戦では王座戦で初のタイトル挑戦まで残り3連勝と迫っており、今後続くトップ棋士達との連戦には更なる注目が集まりそうです。

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