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第77期順位戦対戦表が決定、各クラスの昇級者を徹底予想

time 2018/06/01

第76期名人戦は現在第5局を終えて佳境を迎えていますが、今月から始まる第77期順位戦の対戦表も既に発表されています。


各クラスの昇級争いの行方を、管理人の独断と偏見で予想してみました。

A級

◎:名人戦敗者(佐藤or羽生)
〇:豊島
△:糸谷

名人戦の敗者が本命です。第5局を終えて羽生竜王が2勝3敗とカド番へ追い込まれていますが、羽生竜王がA級順位戦を戦った(=名人ではなかった)年の直近10回のリーグ戦では、実に8回も挑戦者となる驚異的な勝率を残しています。佐藤名人も直近5回の順位戦で4度昇級もしくは名人挑戦を果たすなど、長時間の持ち時間と抜群の相性を示しています。

対抗は僅差で豊島八段です。昨年度は前半に独走態勢を築いたかに見えましたが、終盤に失速して地獄のプレーオフに巻き込まれてしまいました。しかし毎年のように高勝率を収めている安定感は棋界でもトップクラスで、爆発力が求められるトーナメント棋戦よりもリーグ戦で真価を発揮するタイプだと見ます。

3番手以降は実力者揃いの混戦模様ですが、大穴として糸谷八段を予想します。早指しの棋風は長時間の順位戦には向かないとは思いますが、好不調の波が激しいタイプで、昨年度はB級1組で怒涛の8連勝で早々と昇級を決めました。また、A級順位戦では2年前の佐藤八段(当時)以降、初参加の若手が好成績を収めており、稲葉八段や豊島八段の活躍に刺激を受けたであろう同じ関西の糸谷八段も内心期するものがあると思われます。

B級1組

◎:渡辺
〇:菅井
△:谷川

大本命は渡辺棋王です。昨年度は棋士人生初の負け越しを喫するなど、過去の実績からは全く想像出来ないほどの試練の年となりましたが、それでも棋王戦では絶好調の永瀬七段をフルセットの末に退けて底力を見せました。また、過去A級から陥落した棋士の例を見ても、1期での復帰の確率は約30%と比較的高く、順位の差とA級との層の厚さの違いが顕著に表れています。さらに、他のB級1組在籍者との対戦成績は斎藤七段(0勝1敗)を除き全員勝ち越しているというデータもあり、やはり頭一つ抜け出ている感があります。

対抗は菅井王位です。昨年度は初タイトルを獲得し、その後もやや勢いは衰えたものの安定した勝率を残しましたが、順位戦では星が集まりませんでした。早見え早指しタイプなだけに順位戦の持ち時間との相性はやや悪そうですが、それでもここ数年の活躍度や、近年のB級1組では若手が活躍しやすい傾向が見られることなどから、有力な昇級候補でしょう。

大穴は谷川九段です。ここ数年は不本意な結果が続いていましたが、昨年度は若手実力者を一刀両断にする鋭い将棋が何局も見られ、復調を感じさせました。会長職の重責から解放されたことも恐らく無関係ではないでしょう。藤井七段が朝日杯で優勝した際に若手棋士に対して「君たち、悔しくないのか」と言い放った言葉は、藤井七段の強さを一様に称えるばかりの他のベテラン棋士達とはあまりにも対照的で、現役棋士として自身もまだまだ結果を残したいという想いを感じさせました。50代後半でのA級復帰となれば、近年はもちろん順位戦77年の歴史上でも屈指の快挙となりますが、光速流の切れ味を見せて欲しいところです。

B級2組

◎:永瀬
〇:中村(太)
▲:丸山、澤田、千田

本命は永瀬七段です。昨年度は棋王戦での惜敗の印象が強く残ってしまいましたが、それでもここ数年の勝率の高さが示す安定感は群を抜いています。順位戦との相性の悪さ、順位の悪さ、そして今期の対戦相手の厳しさなど、悪材料もかなり揃っていますが、それらを差し引いてでも本命に推したい地力があります。

対抗は中村王座です。昨年度は王座獲得以降は調子を落としており、特に11月から3月にかけては3勝8敗とやや信じがたい結果となっています。とはいえ、タイトル戦で羽生竜王を破った実力には疑う余地はなく、対局が少なかった4-5月の充電期間を経て順位戦ではコンディションを立て直して来るでしょう。順位が6位と高く、有力候補との対戦が少ないことも好材料です。

3番手には丸山九段、澤田六段、千田六段を予想します。実績十分ながら昨年度はB級1組から陥落した丸山九段、王位戦では2年連続で挑戦者まで後一歩と迫った澤田六段、昨年度は10戦全勝でC級1組から昇級した千田六段と三者三様ですが、実力的にはB級2組の中でも上位であることは間違いないでしょう。初戦の丸山vs千田戦は早くも両者の今期を占う大一番となりそうです。

C級1組

◎:佐々木(勇)
〇:藤井(聡)
▲:近藤(誠)

本命は佐々木六段です。39名の参加棋士に対して昇級枠が2枠しかないC級1組では順位の差が他のクラス以上に大きく、佐々木六段も昨年度は順位6位での9勝1敗という超好成績ながら頭ハネを喫しています。順位をさらに上げた今期は対戦相手にも恵まれた印象で、3年連続で7割以上の勝率を収めているこれまで通りの力が出し切れれば、自ずと昇級は見えて来るでしょう。

対抗は藤井七段です。デビュー以降の驚異的な勝率からはC級1組でも負ける姿を想像する方が難しいですが、前述の通りこのクラスでは順位が悪いと1敗も許されない展開も十分考えられます。対戦相手も後半は増田六段、近藤五段、都成五段など若手の実力者が目立ち、最終戦まで楽観は許されないでしょう。

3番手以降は上記の2名からかなり離れますが、近藤五段を予想します。各棋戦で活躍している若手実力者で、順位も6位と悪くありませんが、対戦相手がやや厳しい印象です。特にラスト2戦は藤井七段、増田六段との直接対決が続くため、9回戦までは最悪でも7勝1敗で乗り切りたいところです。

C級2組

◎:大橋
〇:高見
▲:佐々木(大)、八代、三枚堂

本命は大橋四段です。昨年度は藤井七段の大活躍の陰に隠れはしたものの、デビュー1年目にして8割に迫る全棋士中第2位の高勝率を記録し、藤井七段とも2勝2敗と互角に渡り合っています。順位戦では昇級を逃しましたが、4位まで順位を上げた今期は対戦相手も悪くはなく、3位以内を逃す姿は想像しづらい印象です。

対抗は僅差で高見叡王です。タイトルを獲得した以上、C級2組に留まるわけにはいけないことは本人が誰よりも強く自覚されているはずで、今期の昇級は至上命題と言っても過言ではないでしょう。昨年以降の将棋の内容を見ても、得意の終盤の勝負術に一段と磨きがかかった印象で、実力的には大橋四段とともにこのクラスでは頭一つ以上抜けていることは間違いありません。

49人の大所帯となるC級2組では3番手以降は混戦ですが、有力候補は佐々木四段、八代六段、三枚堂六段でしょうか。いずれもC級1組以上にいても全くおかしくない実力者ですが、この三人が今期同時に昇級する可能性も非常に低いということも、順位戦というシステムの厳しさを象徴しています。八代六段と三枚堂六段は昨年度はやや不本意な成績に終わりましたが、親交が深い高見叡王の躍進には刺激を受けたはずで、今期の巻き返しを期待したいところです。

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管理人の棋力はアマ五段くらい。好きな棋士は谷川浩司九段、「将棋の渡辺くん」に登場する渡辺棋王、佐々木勇気六段の話をする三枚堂達也六段、「りゅうおうのおしごと!」に登場する空銀子女流二冠です。

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