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「どちらも応援しません!」豊島八段の悔しさの源、対高見戦を徹底検証

time 2018/04/15

高見泰地六段の先勝で幕を開けた第3期叡王戦。その第1局の前夜祭で、本戦で高見六段に敗れた豊島将之八段が「自分は(両対局者の)どちらも応援しません!」と毒のあるジョークを飛ばし、大きな笑いを取っていました。


豊島八段は解説者として登場した翌日の生放送でも、高見六段の好局を紹介する際に「本当は自分との将棋が一番熱戦だったと思いますが、精神衛生上良くないので(苦笑)」と別の将棋を選んでいました。冗談を飛ばしつつも、内心はかなり悔しかったようです(^-^;。

各棋戦で勝ちまくっている豊島八段に逆転勝ちを収めた高見六段の好局を、傷心の豊島八段に代わって振り返ります。

第3期叡王戦本戦1回戦

昨年12月に行われた豊島vs高見戦。昨年度の豊島八段はこの対局が始まる前まで29勝8敗と絶好調で、叡王戦でも優勝候補筆頭との呼び声も挙がっていました。

一方、抽選会で豊島八段との対戦が決まった高見五段(当時)は「強い人と当たりたかったので凄く嬉しいです」と非常に前向きなコメントを残していましたが、本局は序盤からリードを奪われてしまいます。

豊島八段の先手で横歩取りへ進み、後手が△2三歩と先受けした局面です。後手は歩得ながら角を手放した上に手損も大きく、瞬間的に不安を覚える局面です。

さらにここで豊島八段が▲7四歩、△同歩、▲3七角と動いた手が機敏で、先手がペースをつかみました。△9二飛と逃げるしかありませんが、後手はこの後▲8三銀(金)と飛車を取られる傷に悩まされ続けることになりました。

△2三歩では本来なら後手は△6二銀と先手からの角のラインに備えたいところですが、先手から▲2三歩と打たれると(△同金は▲3一飛成~▲3二銀)△6二銀が瞬間的に壁になってしまい指し切れなさそうです。本局の影響もあってか、この局面の少し前の△5五角~△2二同角と歩を取る変化は現在では殆ど見られていません。

実戦的な逆転術

数十手進み、▲8三銀から飛を取ることに成功した先手が駒得を拡大してリードを広げています。後手からは有効な攻めが見当たりませんが、高見五段は△6五桂と不思議な勝負手を放ちました。次に直接的な狙いはないものの、将来の△7七歩などを見せて先手玉にプレッシャーを掛けています。また、▲6六歩から取りに行くと将来△6六桂の傷が残るため、桂を味よく除去することも難しい形です。

△6五桂は厳密な意味では最善手だとは思えませんが、先手の意表を突きながら局面を複雑化させる実戦的な妙手でした。実戦でも豊島八段が指した▲4六香が疑問手となり、△5二銀と受けられてみると後の△3四桂~△4六桂が痛く、差が詰まりました。

叡王戦七番勝負第1局で高見六段が△4五桂と跳ねた手も、単騎の桂ながら意外と取り切ることが難しいという、△6五桂と似た雰囲気の一手でした。攻めの技術が進歩した現代将棋では桂を序盤から積極的に跳ねる展開が増えていますが、高見五段の将棋にもこのような将棋ソフトの影響が随所に感じられます。

ついに逆転

高見五段の粘りが功を奏して混戦になっていますが、ここで▲8四竜と引いた手が致命的な疑問手となってしまいました。△4四歩と銀を取ると先手も角が働きそうですが、じっと△3四歩と角取りに打った手が素朴な妙手で、先手は指し手に窮しました。

▲8四竜では▲同竜と取り、△3四歩に▲7四桂からの攻め合いを用意すればまだ難解な形勢でした。しかし将棋の流れとしては、6五桂と7三桂の重なり方を見ても先手の変調ぶりは明らかで、残り時間も少ない中では既に先手が既に勝ちづらい局面ではありました。

万全の収束

3五角と4四銀を取り切って大きな駒得を果たした後手が既に勝勢で、勝ち方は複数ありそうですが、高見五段は△9九金と最も手堅い順を選びました。いわゆる「友達をなくす」ような辛い勝ち方ですが、本戦の大きな勝負で相手は強敵、持ち時間も少ないとなると、泥臭くとも安全勝ちを目指すのは実戦的にも正解でしょう。以下は手堅く先手玉を寄せ切った高見五段がベスト8進出を決めています。

豊島八段としては珍しい逆転負けである上に最後は大きな差をつけられてしまい、悔しさが残ることも頷ける将棋でした。一方高見六段から見ると、中盤以降は実戦的な勝負術を連発して強敵に競り勝った会心の内容だったと思います。

高見六段は「豊島八段に勝ったことで、さらに上を目指さなければとプレッシャーを感じた」と語っていたそうです。本局で見せた中終盤の力強さを七番勝負でも発揮し、初タイトルをつかみ取ることが出来るでしょうか。

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